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2011年12月08日
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カテゴリ:政治経済
 この電文は送られず、ニイタカヤマノボレ1208が送られた。
 ニイタカヤマは、滅亡した帝国随一の高山だった。
 
 つい最近のこの日の出来事。オイラは未だ生まれていないが、そんなに過去のことではない。
 華やかに戦果を伝える新聞の切抜きが1年近い分、残っていた。親父はそこでやめたようである。破滅が、すでに見えていたようだ。
 戦車を研究していた学者の家族が疎開転校してきて、信じられないような惨めな暮らしをしていたと、親父は言った。それで、もうダメだと思ったと。

 兄二人は兵隊に取られる前の年頃で、家族は全員揃う最後の機会と記念写真を撮り、いずれ死に別れることを覚悟したと聞いている。
 上の兄は宇宙物理の学者を目指してすでに大学にいたが、学徒動員で阪神の工場地帯へ送られて栄養失調となった。若死にの原因になったんだろう。
 下の兄は幼年学校で美味いものを食って勉学に励んでいたと聞いている。見るからに子供なのに、服の階級章はすでに下士官で、巡航船で、いかつい顔の見るからに古参の上等兵たちが敬礼して、将来の士官とその母に席を譲ってくれたという。
 両親とも学校の先生だったことと、住んでいたのが高知市ではなく田舎だったこともあって、乗っていた電車が空襲されて穴だらけになった程度で、幸運にも全員生き延びた。
 高知へは上陸しての飛行場確保が決まっていた。抵抗を続けていたら、艦砲射撃か竹やり突撃か、あるいは火炎放射の焼き払いで一掃されていたはず。両親は死に、オイラは生まれなかったわけである。

 真珠湾に始まるような言い方がされる戦争だが、未だに、この戦争はおかしな戦争だったと思う。陰謀臭さがプンプンするのである。
 米軍の航空部隊とは、中国上空ですでに陸軍が日常的に交戦していたわけだし、蒋介石の軍隊は完璧なドイツ軍装備なのに、米英が全面支援するという形での代理戦争だった。
 ハルノートという最後通牒も一方的に突きつけられて、マニラにいる米軍と香港にいるイギリス軍、ボルネオ、スマトラにいるオランダ軍などに包囲されて、仏印とも同盟国のタイとの補給路も、ロクに確保できない状況に陥っていた。
 首根っこを締め上げられて、窒息寸前の状況だったのである。
 抵抗して殴り返したので、全力でぶちのめされて、今はトモダチと言ってくれているが、たぶん、抵抗しなかったら、いびり殺されていたと思う。米国とは、そういう国である。

 真珠湾の陰謀臭さには、疑惑点が無数にある。

 なぜか年代ものの旧式戦艦ばかりが、標的のように密集して並べられてあったこと。これらの艦艇は無駄に留め置かれていたという説がある。危険を警告した将官は解任され、なぜかパッとしない少将が司令官として着任していた。
 軍港を観察できる地点への日本人の出入りは自由で、上空警戒の様子もなかったこと。 いつ日本とのドンパチが始まるのか、といっている最中なのに、休暇上陸中の将兵が大勢いたこと。9.11の状況と似ているのである。
 島の山岳にあるレーダー警戒員の報告を無視し、300機以上の攻撃機を、本土からのB17の到着だとして無視したこと。
 真珠湾には空母部隊が1隻もおらず、この時点での米軍空母の行動もおかしげであること。新鋭航空機は空母に積んで他の島へ輸送避難中だったとの説もある。
 6隻の攻撃空母からなる帝国の機動部隊が所在不明であることは、真珠湾に居る戦艦部隊以外には知れ渡っていたこと。
 5隻、神風特攻した甲標的(特殊潜航艇)が、空襲前すでに発見撃沈されていた、という説もある。「米国海軍駆逐艦「ウォード」による発砲は12月7日0645,日米太平洋戦争の戦死第一号は,甲標的の搭乗員2名だった。」
 日本から米国の日本大使館への無電は事前解読されており、米国の上層部は攻撃を知っていた、という説さえある。米国で出版されている。

 陰謀臭さのにじみ出る怪しげな点は、日本側にも数多いのである。
 山本長官による重要な決定事項が次々と米国側に筒抜けであったこと。
 大使館に人手が無く、本国からの暗号解読、タイプ打ち、米国への最後通牒手渡しが遅れたとする、ヘンな言い訳がまかりとおっていること。
 二次攻撃隊の要ありとする攻撃隊指揮官からの報告を無視し、現場に居座っての軍事港湾施設への反復攻撃を中止して反転したこと。いわば敵を征圧、抵抗力を無くしたので、これからが本物の戦果になる、という部分での攻撃中止なのである。敗戦間際でも、栗田中将が、これをやった。
 
 ツクバヤマハレ にするために、やったのではない。
 トモダチ と、言われるためにやったのではないのか。ニイタカヤマも帝国も、無くなったが、今度は日本国が無くなろうとしている。そんな疑惑も脱ぎ去れない。





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最終更新日  2011年12月08日 15時42分29秒
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