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2014年06月09日
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カテゴリ:政治経済
 但し黒頭の彼らは、シュメール人と名乗って登場したのではない。

 シュメールの地を、その栄光とともに受け継いでいたアッカド人の方が、シュメール人だと名乗っていたのである。
 但し彼らシュメールの文化を受け継ぐアッカドの人々は、今はアモリ人と類似のエラムの支配下にあった。しかしエラムはシュメールではなかった。文化は破壊されかかっていた。
 このややこしさが、わかるだろうか。
 
 ウルへの侵入者は、アモリ人だと名乗っていた。
 避難していた山岳地域から中央に帰還した、阿森さんである。
 シュメールの地、大都市ウルは、シュメール文化を受け継ぐアモリ人の将軍イシュビ・イッラによって、エラムから奪還され、囚われの神々は開放された。
 彼はウルではなく、イシン市において豊芦原中ツ国の王、ウル王を名乗る。
 滅びたウル第三王朝を継承するイシン第一王朝が、ここに成立したのである。
 この都市はたぶん、彼らの橋頭堡だった。同族が多く居たのだろう。印欧語の影響が感じられる部族だったようだ。
 イシンは、この後の、ごちゃまぜにされた、黒頭たちの礎になってゆく。

 現在のイシャン・アル・バフリヤト遺跡がイシン市であるとされているらしい。だが、何にも出てこない。イシンは、比較的新しい都市だったようだし、場所が違うのかも。
 彼らはシュメールの地で、すでに少数派であり、遠い過去のシュメールの栄光も消えかかっていた。

 しかし王名を見れば、彼らがシュメールの正当な後継者であったことがわかるのである。
1. イシュビ・エッラ
2. シュ・イリシュ
3. イディン・ダガン
4. イシュメ・ダガン
5. リピト・イシュタル
6. ウル・ニヌルタ
7. ブル・シン
8. リピト・エンリル
9. イルラ・イミッティ
10. エンリル・バニ
11. ザンビヤ
12. イテル・ピシャ
13. ウル・ドゥクガ
14. シン・マギル
15. ダミク・イリシュ

 特筆すべきはリピト・イシュタルの法典である。人類最古の法律文書なのである。
 政権はやがてラルサに移り、ハンムラビのバビロニアに制圧されて、シュメールの栄光は消えた。法典も剽窃された。但し目には目を、のような考え方は、シュメールにはない。
 アン(アヌ=天)神とエンリル神(の誓約)によってイシン市のニンイシンナ女神に王権が与えられ、その支持の下で、リピト・イシュタルが権力を行使していることを宣言しているという。
 奴隷や税。婚姻や相続、契約や不動産に、かわったところでは処女性の保護、といったものもあるらしい。太陽の神ウツと法典を関連付ける考え方も出てくるという。

 バビロニアに滅ぼされて消えた彼ら混血したシュメールの末裔が、つかの間、蘇るのは、後のカッシート人(カッシュ族)の時代である。





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最終更新日  2014年06月09日 07時23分17秒
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