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Jul 29, 2016
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テーマ:短編を作る(405)
カテゴリ:短編小説
地上に、並び立つ人々の住む家々。

その建物群が、蝉の目にどう映っているのかは解らない。


蝉自身、自らに死が迫っている事は、重々承知している。

それは、覆すことが出来ない宿命。




・・・最後に、あの建物の中に入りたい・・・


・・・夜になると、不思議な灯りを灯す、あの建物の中に入りたい・・・


・・・地上にそびえ立つ、山脈の様な、あの建物の中に入りたい・・・・



家の扉が開き、家の中から灯が漏れた。



・・・今だ!・・・



蝉は、扉を抜け、玄関の踊り場を飛び回った。



「蝉だ!捕まえて!」


人間たちの声が、玄関の踊り場に響いた。



蝉は、玄関に掛けてあった姿見の鏡の裏に飛び込んだ。



・・・・・ここだ・・・・僕の最後の場所・・・



姿見の鏡の裏のその場所が、

蝉を優しく受けとめてくれているように思えた。


そう思うと蝉の身体は、その場所に馴染んでいった。


・・・・・ここが・・・・僕の・・・・最後の安住の地・・・・


と蝉が思った時、姿見の鏡が取り外され、

人間が、蝉の身体を掴んで、素早く、窓の外へと蝉を放った。



・・・・・ジジ・・・・・・・



蝉は、そう音を立てながら、夏の夜空を飛んだ。 。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。




おしまい





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最終更新日  Jul 30, 2016 01:54:51 AM
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