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江戸東京ぶらり旅

江戸東京ぶらり旅

神田薮蕎麦

神田薮蕎麦と蕎麦のウンチク


神田薮蕎麦2.JPG


 ビルの谷間にあるおそば屋さん,だからいかにも時代を経ているといった感じに見えるお店です。年中無休と一応はうたっていますが,お盆期間の前後,毎年のように臨時休業となります。お昼時には周辺のオフィス街からサラリーマンがどっと押し寄せます。中には商談に利用する人,黒塗りのハイヤーで乗り付けるご婦人もおりますよ。

 薄暗い店内ですが,女将の「せいろ~~~~いち~~ま~い~~~」と独特の節回しの声が響き渡り,こうして客の注文が厨房に伝わります。その雰囲気は慣れたものには快く響くのですが,初めて訪れるお客なら驚くことでしょうね。それで蕎麦を茹でている間に,お酒をちびりちびり・・・甘めのなめ味噌がついてきますので,それを肴にです。

 蕎麦屋は本来お酒を飲む場所で,腹を満たす場所ではないのですね。まあ,喫茶店感覚といったところ。だから登場するお蕎麦もちょっと食ったらすぐなくなる程度の分量。周囲を見回してどの程度かを知ってから,「ざる,三枚お願いね」と注文したほうが良いでしょう。

 昔は蕎麦の実を雑炊にしたり,そばがきとして食べていたものが,江戸時代になって麺にして食べることが流行。京や大坂でうどんのことを「麦切り」と言っていたので,これは「蕎麦切り」と区別して言いました。「蕎麦」だけでは麺状のものかどうか分からないからね。

 最初に江戸の流行ったのは屋台蕎麦ですね。皿に盛った蕎麦に温かい汁をぶっかけた「ぶっかけ蕎麦」。七味唐辛子や大根おろしなどの薬味を添えることもあります。つまり蕎麦はファストフード,駅の立ち食い蕎麦と同じ感覚です。高級感などありません。

 「二八蕎麦」は小麦粉2に対してそば粉8の割合で打ったものですが,16文という値段だったからという説もあります。2×8=16だからね。実は「三八蕎麦」なんていうのもあったので,これでは割合を示さない,10割を越してしまう。だから後者の説の方が説得力がありますがね。にぎり寿司が一個8文でしたから,蕎麦は寿司二個分。

 もともと「ざる蕎麦」はざるに盛ったもの,「盛りそば」は皿に盛ったもの,「せいろ蕎麦」はせいろ(蒸籠)で蒸した温かいそば,だったのですね。

 蕎麦通は蕎麦の先っちょに少しだけ汁をつけて,「ずずっ」とすすって,二,三度噛んで,飲み込む・・・「ああ,たっぷり汁をつけて食ってみたかったな」なんてな落語がありますが,昔のたれは辛いのです。今の汁を半分に煮詰めた程の辛さだから,少しつけるのが当然。でもあまり音をたてて食べるのは江戸人だって本当はしませんでした。ラジオ放送が普及して,落語で蕎麦を食う場面をおおげさにやったからなのですね,下品な人が増えたのは。

 ちなみに,メニューの「酒の肴」のところをながめましょう。いたわさ,たたみいわし,そばがき,なめ味噌・・・酒の種類と酒の肴がそろっている蕎麦屋,これが本当の蕎麦屋でしょうね。また蕎麦屋によっても,一人前の量が違いますね。大盛りを頼むと,普通でも多いのに,その三倍も出てくる蕎麦屋もあります。注文の前に,一人前の分量を聞いてみるといいのですね。

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