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マイルズ・ヴォルコシガンシリーズで有名なロイス・マクマスター・ビジョルドさんの「チャリオンの影(上・下)」です。
戦争に負けて捕虜となり、敵国での過酷な奴隷生活を終えて命からがら祖国へたどり着いた中年のおっさん主人公カザリル。なんとか昔の知り合いを頼り、その家で家庭教師の職を得た彼でありましたが、その家が王家に近い家柄であったため、というよりは、むしろ運命の必然によって、いやがおうにも国家の政治的陰謀の中に巻き込まれていくのでした。 ビジョルドさんということでマイルズシリーズのような爽快な物語を無意識のうちに期待していたせいもあってか、私的には「めっちゃおすすめ!!」というほどでもない結果におわってしまいました^^;。普通に「おすすめですよ~」みたいなかんじです。しかしながらそこかしこのレビューではけっこう★5つ級の評価が並んでおりますゆえ、はまる人にはしっかりはまるのでしょう。 へそストアのレビューにも書きましたが、話の本筋で「神様」とかでてきちゃうので、そのへんが★一個マイナスの理由です。だってすべての悪い出来事を呪いとか過去の因縁のせいにするなんてなんだかおかしいですよね。そんな因果関係なんてなくたって本人自ら自然と悪いことも(良いことも)しちゃうのが人間だと思うのですよ。 というわけで手放しではおすすめできませんが、政治的駆け引きとか色恋沙汰なんかはたいへん楽しいです。ビジョルドさんってSF作家なのに(SF作家だからこそ?)恋愛ごと描くのが上手なんですよね。マイルズ君のお父さんとお母さんの出会いのエピソードでもそうでしたが、恋愛ごとにつきもののねばねば感(液体的な意味じゃなくて精神的な意味で^^;)がなくて非常にさらっとしてます。それでいて説得力もある。 この前読んだ「エンディミオンの覚醒」なんかは「愛してる」っていう言葉は100万回くらい出てくるんだけど、具体的にどう愛し合ってるかっていうのはイマイチぴんとこなくて、そういう(色恋沙汰の)面では標準レベルにとどまる出来栄えでした。でも、この「チャリオンの影」ではむしろそっちが楽しい。主人公カザリル君とそのお相手の女性のひたむきな思いがじわじわと伝わってきて思わず応援してしまいます。押せ! 押せ! そこで押せ! みたいな。(押し倒せ! じゃないですよ~^_^) ひとつの作品をとってもいろんな面があり、いろんな楽しみ方がある。 物語って奥が深いですね~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.04.29 22:36:44
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