倉知淳「壷中の天国」
壷中の天国「全能にして全知の存在から電波を受信している私を妨害しないで頂きたい」―静かな地方都市で奇妙な怪文書が見つかる。それは、あたかも同市で発生した通り魔殺人の犯行声明のようであった。その後第二、第三の通り魔殺人が起こるごとに、バラ撤かれる「電波系」怪文書。果たして犯人の真の目的は?互いに無関係に思える被害者達を結ぶ、ミッシング・リンクは存在するのか…。本格ミステリの歴史に燦然と輝く、第一回本格ミステリ大賞受賞作。 オレにとって「星降り山荘の殺人」以来の倉知淳の長編でした。読み終わって色々思ったんですが、評価し辛いです。ミステリ色は薄いんですがそれなりに面白く読めたんですよね。※以下ネタバレ反転ミッシングリンクは何やねん?と推理しながら読んだんですが、さすがに分かりませんでした。というか、分かった人いるの?w「犯人は電波な人を装ったシリアルキラー」かと思えばそうでもなく、「本当に電波な人だった」というのも驚き。短編ならありそうな気もするけど、長編では珍しいな~と思います。ただ不満な点もありました。まず日常生活の描写がくどい。もう少し短くできたんじゃないかな~。あとはミッシングリンクの弱さですね。あれが動機だとするなら、ケータイ電話を手にしている人なら真っ先に殺されると思うんですが・・とはいえこの犯人なら動機に納得いかないのも仕方ないか。猫丸先輩と似たような探偵役もいましたね。倉知さんのミステリってこういう探偵役しか出てこないなぁ・・w