資産総額250億円の相続案件の相談が来た話
6月初旬、いきなり、うちの事務所、酒井税理士事務所に70歳の男性が相続の相談に来られた。その相談内容は、250億円の相続財産の件250億円という莫大な遺産やりとりしたFAX 250通以上警察も出動するほどの事件にまで発展した、都市伝説かネタかと思っていたがこんな話が本当にあったのかと。驚かされた本当の話騒動も落ち着いたので、このブログで一部始終を発表しようと思うこれは、二つの事件が進行していく。ポイントはこの3つ1.なぜ警察沙汰になる様な事件に発展したのか2.なぜ70歳の男性が、莫大な相続財産を受け取ることになったのか3.なぜこのような巨額の相続案件が酒井税理士事務所に依頼が来たのか迷惑FAX騒動5月末から急に意味不明なFAXが、酒井税理士事務所に立て続けに送られてきた。「ポイントがなくなったのでこれからはFAXにします。よろしくお願いします。」「送金は振込みではなく現金を郵送でお願いします」なんのこっちゃか意味がわからない。それからというもの、見知らぬおっさんの免許証、通帳、どんどんFAXが流れてくる「250億円の遺産を受け取る意思はありますか?」「あるなら1と送信してください。ないなら2と送信してください」新手の振り込め詐欺か?内容もまったく意味のわからないFAXこんな低俗な詐欺でワシをだまそうなんて100億年早いわ。と思って無視していたら、どんどんFAXが流れてくるその総数なんと250通以上!キレて相手に電話して、長州力ばりに「何がしたいんだコラ!」と言ってやろうものなら、「脅迫された。」だの言われかねない迷惑FAXを送り続けて、こっちをキレさせて、文句を言えば、脅された。といちゃもんをつけてくる”逆ギレ詐欺”なのかわけがわからないがどんな奴がこのFAXを送ってきてるのかわからない、“見えない敵”との戦いであり、これは無視が一番。我慢が重要である。9日間毎日、総数250通以上ものFAXが一方的に送られてきたそして、そのFAXの文面に、「200通以上もFAX送ってるのに、何で反応ないねん。らちがあかんので、来週事務所に伺います。」という旨の一方的な襲撃予告もくるようになった。うちの事務所のHPを印刷したものや事務所の地図なども送られてきて、「わしはお前の事務所の場所知ってるねんぞ。いつでも行ってやるからな。」という、脅しとも思える文面さすがに気味が悪く、従業員も怖がるようになり警察に相談した。しかし、警察は被害にあってからじゃないとなかなか動いてくれない。そして、襲撃予告どおり、見知らぬおっさんがうちの事務所にいきなり乗り込んできた。「相続の件で話に来た。」いきなりちょっとキレ気味の登場である。おっさんの心情→「なんどもFAXしてるのに無視しやがって」私の心情→「おまえか!250通以上もFAXを送ってきやがったやつは!どういうつもりで送ってきとんねん!」迷惑FAX騒動の犯人との対決の話の前に、 もうひとつの事件の話。250億円相続事件ある70歳の男性は、一条なおみさん(仮名。としておく)という女性とメールで二、三回やり取りをしたあと、その女性の親友と名乗る人物から、「残念ながら一条なおみは亡くなってしまいました。なおみがあなたに財産を相続させたいという遺言を預かっています」というメールが来る。そしてさらに、第三の登場人物が現れ、「私は、一条なおみ様の遺産の管理を任されました税理士の○○と申します。財産を受け取られる意思はありますか?・・・」という旨のメールが70歳の男性に届いた。このような流れで、ひょんなことから70歳の男性は、相続人(相続を受け取る側の人)となり250億円もの莫大な遺産を受け取るチャンスが転がり込んできた。もうお気づきの方がほとんどだと思うがこの70代の男性がメールのやり取りをしていたのは、出会い系サイトである!しかも悪質な。莫大な財産を残して亡くなった一条なおみサンという人も存在しないその親友と名乗る人物も自作自演で同一人物(サクラ)がメールを送っているのであろう。そして、財産の管理を任されたという設定で登場する第三の人物 税理士の○○は、税理士の酒井!と名乗っていた。この悪質出会いサイト経由で会員がメールを受信するのは無料しかし送信には1通500円かかる。この70歳のおっさんは、賢いのかアホなのかわからないが一通500円の送信料をケチるために、この遺産の管理を任されている税理士 酒井と直接連絡を取ろうとネットで、“ 酒井 税理士” や ” 酒井税理士事務所 ”と検索したらしい。グーグルで検索したら、うちの酒井税理士事務所のHPがトップページに出てくる。迷惑サイトでたぶんてきとーに名前をつけられた酒井という税理士を勝手にうちの事務所の人間だと思い込んだ70歳のおっさんは、サイトから来るメールに対しその返信をパソコンで書いて、サイトに返信するのではくご丁寧にもそれを紙に印刷して、うちにFAXで送信してきていた。250通以上も。迷惑FAXをうける酒井税理士事務所 側からすればなんのこっちゃ意味がわからない。相関図を整理すると、【悪質出会い系サイト→70歳のおっさん】メールを無差別に送りまくって、反応を示して返信が来れば、500円ずつ儲かる仕組み。コピペメールを一方的に送り続ける一回で聞けばいいものを何回も分けて送ってくるたとえば、生年月日の確認です。生年月日を送信してください。←これで一回【70歳のおっさん→酒井税理士事務所】悪質出会い系サイトから来たメールの返信を、うちに一方的に送り続ける【酒井税理士事務所】まったくの被害者。しかも意味不明な内容。話が噛み合うはずがない。その意味のわからないFAXに、一条なおみ様の相続の件とか税理士 酒井美波 とかよくわからない人物の名前が出てきていた酒井美波って誰やねん。うちにはそんな人おらんで。と無視していたが、酒井美波 税理士というキーワードでグーグルで検索すると悪質出会い系サイトがヒットして、キャッシュを見てみるとこんな書き込みを発見した。↓↓↓一条なおみ様の遺産(土地・車・家・財産等)を全て、ゲスト様に相続するという遺言状通りに、ご連絡差し上げました。 こちら現金に全て換金しまして、250億9400万円になりました。全額銀行入金させて頂きますので、ゲスト様のお振込先の銀行口座を【[銀行]公的遺産相続窓口】にご連絡いただけますでしょうか? よろしくお願い致します。 酒井税理士事務所・酒井 美波 ↑↑↑誰がこんなあほな設定の詐欺を信じるねん!ゲスト様という書き込みの時点で無差別コピペ感丸だし。さすがに、おっさんへのメールにはゲスト様ではなくおっさんのハンドルネームを宛名に書かれていた。話をおっさんとの対決に戻すと、事務所に乗り込んできた70歳のおっさん(なんと!原付で富田林から枚方までやってきた!)おっさんの主張→相続の話どないなっとんねん。私→酒井美波なんてうちにいませんよ。そもそも250億の相続なんてだまされてますよ。まったく話が噛み合わないので警察に通報した。警察官とおっさんに聞き込みをしていく中で、上記のような事件の真相がわかっていった。おっさんは、250億円の相続について、ほんまに信じていたらしくおっさんなりに勉強して、相続についてネットで調べた印刷物がぎっしりファイルされていた。おっさんなりに計算したところ250億円の相続財産のうち税金やら税理士報酬や引かれても150億は自分のところに入ってくると信じていたらしい。誰が、会ったこともない、メール二、三回しかやりとりしてない人に250億もの財産を渡すねん!そもそも誰が250億もの財産もっとんねん!携帯やパソコンにアホほど送られてくる迷惑メール。世の中に流通してるメールの90何パーは迷惑メールという記事を読んだことがある。誰がこんなんにひっかかるねん!と思っていたが都市伝説でもネタでもなく、本当に信じてしまう人がいる。だまされる人がいる限り、悪質サイトは減らない。そして勝手に、ひょんなことからこんなあほな事件に巻き込まれ、迷惑をこうむった最大の被害者がここにいる。幸い、我が事務所はペーパーレス化が進んでおりFAXもペーパーレスだったので、紙代の被害はないが紙で受けるFAXを使っていたらと思うと250通以上の迷惑FAXがきたら発狂しいてただろう。おっさんが250回以上のやり取りを悪質サイトにメールで返信してたとしたら500円×250回=12万5千円ほど悪質サイトがおっさんから不当に金を巻き上げていたことになる迷惑FAXを送り続けてきたおっさんには腹わた煮えくり返っていたが、おっさんを悪質サイトに支払う12万5千円の被害から救ったと思えば、私も人助け、少しは社会貢献したかな。と思って、話のネタが増えたことに今では満足している。