島の人の「生きる力」
堤防沿いを歩いていると必ずと言って良いほど落ちているのが缶ジュースの空き缶や釣りのえさが入っていた容器。それとフグ。フグはもちろんネコも食べませんからいつまでも横たわっています。フグは良い出汁が出て身も柔らかくて鍋でも天ぷらでもおいしい高級食材です。でも,ご存じのように毒があるので釣り人はフグが怖くて皆捨ててしまいます。では,男木島の人はというとフグの調理の免許はなくても皆料理して食べていたのでその技術は食文化遺産だ!受け継がなければ伝えることもできずまずは重要無形食文化遺産を学ぼうと思っていざ釣りに行くところから始めました。釣りの帰り島の70歳くらいの女性にフグを料理して食べるので釣りに行ってきました,と伝えるとその女性に「そう,あんたの隣にいる人は お寺のお坊さんだから 手っ取り早くていいね。」とからかわれました。フグの料理の仕方は,フグの背中と頭の間(って,どこだかわからないね)から包丁を入れ,骨を切ってもうちょっと(って,どのくらいか分からないね)だけ深く切ってぺろんとなった(なんのことやら)胴体を頭の方にやってもう一度骨の所を押さえて頭を引っ張ると皮がつるっとむけてフグの白い身だけ残ります。まあ,百聞は一見に如かずなので男木島に来られてフグはいくらでも釣ることができますので教わってみてください。素晴らしい知恵です。たくさんの方のご苦労のたまものです。受け継がなくてはもったいないおいしくいただきました。そしてとりあえず生きています。サリンに匹敵するという猛毒を持つフグそれすらも安全に頂いてしまう男木島の方の「生きる力」。「生きる力」というのは学力ではない場合の方が多いんじゃない,と文科省も早く気づいて欲しいなあ。釣りの方達これからフグが釣れたら私にください。空き缶など,自分のごみは持って帰ってください命の源の海を大切にきれいにしてほしいと思います。