今回は
自作ガスガン
「十年式擲弾筒」
を紹介します。
十年式擲弾筒は大正10年(1921年)に制定された
日本陸軍最初の手榴弾
十年式手榴弾を発射する兵器として
開発されました。
投擲よりも手榴弾を
遠くに飛ばすことができる
半面、手榴弾では弾道が安定せず
射程が200mほどと短くなってしまう
欠点がありました。
手榴弾のほかには
・発煙弾
・照明弾
・信号弾
などが発射可能でした。
十年式擲弾筒の特徴として
運搬時に砲口と蓋板を
組み合わせることで
コンパクトに収納できる点があります。
私はこのような
分解、結合が簡単にできる
秘密兵器のような武器が
大好きなため
今回これのトイガンを
作ってみることにしました。
主な材料として
・塩ビパイプ
・アルミシート
・エポキシパテ
などを使用しました。
組み立てる際は
まず砲口から蓋板を外します。
次に筒身と柄桿の赤線(方向水準線)が
一致するまで回して結合します。
最後に駐板を取り付ければ
準備完了です。
収納は逆の手順にて行います。
運搬は背嚢に縛り付けるか
肩にかけておこないます。
発射は左手で筒身の中心部を握り
通常は地面から45°立てて
赤線(方向水準線)を
目標に向けて行います。
左手で回転筒を回して
射程距離を定めます。
実物では筒身に空いた発射ガスを
逃がすための穴を調整することで
距離を変更します。
下方分画は通常の射撃
上方分画は柔らかい地面等で
手榴弾の効果が減少しないよう
目標の頭上で爆発させるために
用いられました。
今回作成したトイガンでは
弾に取り付けた爪が
ここに引っかかることで
弾を固定します。
右手でたまを砲口から入れ
人差し指でたまの肩部を押して
装填します。
右手で引鉄についた
拉縄を引くことで弾を発射します。
撃発の動画はこちら
https://youtu.be/RoYiRXkEtX8
トイガンでは
引鉄が撃茎を押し上げることで
発射する押込み式となっています。
射程距離や命中精度に難があった
十年式擲弾筒。
しかし、
「満洲事変に於ける兵器に関する
報告の概要」の
擲弾筒の項目には
「敵襲ヲ受ケタル隊列車ノ影ノ
敵ニ対シ超過射撃ヲ実施シ
大ニ効果アリ」
「敵襲ヲ受ケタル隊擲弾筒ノ
射撃ニヨリ敵ニ相當大ナル損害ヲ典ヘ
之ヲ撃退セリ」といった記述もあり
そのコンセプトは自体は
評価されたことが分かります。
このことが傑作兵器
八九式重擲弾筒の開発に
つながったとされています。
参考文献
1)「10年式擲弾筒」JACAR(アジア歴史資料センター)
Ref.C14030540600、満洲事変に於ける兵器に関する報告の概要
昭和7.6(防衛省防衛研究所)
2)「10年式擲弾筒説明書送付の件」
JACAR(アジア歴史資料センター)
Ref.C01003865800、密大日記
第3冊 昭和4年(防衛省防衛研究所)
擲弾筒のアクションは
独特で楽しいです♪