昨年11月30日。奥飛騨を走り、風光明媚で知られる「神岡鉄道」が廃線となった。
実は今、全国各地のローカル線が続々と廃線となっているのだ。
JRと大手私鉄を除くいわゆる地方鉄道は、現在 全国で97社。そのうち赤字経営に陥っている地方鉄道は75社にも及ぶ。人口減少時代に入った日本。地方では過疎化が進み、多くの地方鉄道は存亡の危機に瀕している。これまで赤字を補てんしてきた地方自治体も財政的に赤字鉄道を支えていくことに限界を迎えている。
こうした中、地方鉄道の再生を手がける男が岡山にいた・・・。一度は廃線が決まっていた和歌山県の赤字ローカル線を再生へと導こうというのだ。その方策とは何か?
存続か廃止か・・住民の足を守るという「公益性」と、これ以上赤字を増やせないという「経営の効率化」の狭間に揺れ、大きな岐路に立たされている地方鉄道の今を追う!
廃線・・地方鉄道の現実
神岡鉄道。岐阜県の奥飛騨と富山県を結ぶ全長およそ20km、観光客も訪れる風光明媚なローカル線である。旧国鉄の神岡線が昭和59年に日本で2番目の第3セクター方式の鉄道会社として生まれ変わって出来た。しかし、運行当初は年間約13万8000人もいた利用客は、現在 約3万2000人に減少し、鉄道事業の7割を占めていた貨物輸送もトラック輸送に切り替わり経営状況が悪化。運転手を6人から3人に減らしてワンマン運転に切り替えたり、駅を無人化したりするなど様々な合理化策を試みたが、その努力も実らず、昨年廃線することが決まった。
そして2006年11月30日。ついに22年の歴史に幕を閉じた・・。
一方、茨城県にある鹿島鉄道も存続の危機に瀕している。沿線の住民たちは長谷川功さんを中心に「鹿島鉄道存続再生ネットワーク」を作り、鹿島鉄道の存続を鉄道会社や自治体に訴えているが果たして・・・?
岐路に立つ地方鉄道を救え!
岡山県に本拠を構える両備グループ。路面電車、バス、タクシー、トラック輸送など多角的に展開する運輸事業会社だ。全国的に不振が続く地方交通を運営しているというのに傘下の48社のほとんどが黒字経営である。その秘密とは何か?
社長の小嶋光信さん(61歳)は言う。「公益性と収益性を両立する道は必ずある」と。その小嶋社長が救ったローカル線が和歌山県にある。
毎年5億円もの赤字を出し続け、廃線が決定していた「南海鉄道 貴志川線」だ。
両備グループはこの「貴志川線」の運営を請負い、新しく「和歌山電鉄」という会社を設立し、「和歌山電鉄 貴志川線」として再生を目指すことになった。果たしてその方策とは?
地方鉄道 生き残りへの新しい形
乗客数が減少しているという現状では今まで通りのローカル鉄道では生き残れない。そこで今注目され始めているのが、“両用”というキーワードだ。
例えば「DMV(デュアルモードビーグル)」。
JR北海道が現在開発中で、鉄道とバスの機能を併せ持っている。
つまり既存の線路も走りつつ、さらに道路も走るという”両用“の車両だ。これだと電車より低価格で運行できるし、道路も走るので乗客も増やせる。さらに既存の線路も活用できる。
地方鉄道の生き残るための未来像を探る。
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最終更新日
2007.01.16 14:56:34