5月のFOMC会合以降に入手した情報は、経済活動が緩やかな(moderate)ペースで拡大していることを示唆している。雇用市場の状況は全体として、ここ数カ月間に一段の改善(further improvement)を見せているが、
失業率は依然高止まりしている。家計支出や企業による固定投資は増加し、住宅セクターは一段と力強さを増したが、財政政策が経済成長の制約となっている。インフレは、一時的な影響を一部反映してFOMCの長期目標を幾分下回る水準で推移しているが、長期インフレ期待は引き続き安定している。
法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは、適切な緩和政策により経済成長が緩やかな(moderate)、ペースで進み、失業率はFOMCが2つの責務と整合すると考える水準に向けて段階的に低下すると予想している。経済と労働市場の見通しに対する下方リスクは秋以降、後退した(diminished since the fall)と考える。またインフレ
は中期的に、FOMCの目標である2%かそれを下回る水準で推移する公算が大きいと想定している。
一段と力強い景気回復を支援し、インフレが時間の経過と共に確実にFOMCの2つの責務と最も整合的な水準になるよう支えるために、FOMCは月額400億ドルのエージェンシー発行モーゲージ債(MBS)と月額450億ドルの長期財務省証券の追加購入を継続することを決定した。FOMCはエージェンシー債(政府機関債)とエージェンシー発行MBSの元本償還資金をエージェンシー発行MBSに再投資し、償還を迎える財務省証券を入札でロールオーバーする既存の政策を維持する。こうした措置は長期金利への下方圧力を維持し、モーゲージ市場を支援するとともに、より広範な金融状況を一段と緩和的にする一助となるだろう。
FOMCは今後数カ月間に入手する経済・金融動向の情報を注視する。物価安定の下、労働市場の見通しが著しく改善するまで(improved substantially)、FOMCは財務省証券とエージェンシー
発行MBSの購入を継続し、その他の政策手段を適宜活用する。雇用市場またはインフレの見通しの変化に応じ適切な政策緩和を維持するため、FOMCは買い入れのペースを拡大もしくは縮小する用意がある。資産購入の規模、ペース、構成を決定するに当たっては、想定される効果とコスト、および経済目標に向けた進ちょく度合いを引き続き適切に考慮する。
最大雇用と物価安定に向けた継続的な進展を支えるため、FOMCは、資産買入プログラムが終了し景気回復が強まった後もかなりの間(considerable time)、非常に緩和的なスタンス(highly
accommodative stance)が引き続き適切になると予想している。具体的には、FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準をゼロ─0.25%に据え置くことを決定した。少なくとも失業率が6.5%を上回る水準にとどまるとともに、向こう1─2年のインフレ見通しがFOMCの長期目標である2%から0.5%ポイント以内に収まり、長期インフレ期待が引き続き十分抑制(well anchored)
されている限り、FF金利を異例の低いレンジ(exceptionally low range)とすることが適切になると現時点で予想している。極めて緩和的な金融政策スタンスをどの程度の期間維持するか決定するに当たっては、労働市場の状況に関するさらなる尺度やインフレ圧力およびインフレ期待を示す指標、金融動向の見通しを含むその他の情報も考慮する。緩和解除の開始を決定する際には、最大雇用と2%のインフレ率という長期目標に沿うバランスの取れたアプローチを採る。
今回の決定に賛成票を投じたのは、バーナンキ委員長、ダドリー副委員長、デューク、エバンズ、パウエル、ラスキン、ローゼングレン、スタイン、タルーロ、イエレンの各委員。反対票を投じたのはブラード、ジョージ各委員で、ブラード委員は、最近のインフレ指標の低さを踏まえFOMCとしてインフレ目標を守る姿勢を一段と強く示すべきと主張。ジョージ委員は、高水準の金融緩和の継続が将来的に経済および金融の不均衡リスクを増大させ、時間とともに長期インフレ期待の加速を招く恐れがあるとの懸念を示した。
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最終更新日
2013.06.20 14:43:10