演 奏 会 の 旅
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元帥閣下
プロからアマチュアまでジャンルを問わず行われる演奏会のレポートを紹介します。
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開催日:2022.5.22(日)14:00開演 場所 :相模原市民会館(1,264名収容→一部減) 40回記念となる相模原市民吹奏楽団のグリーンコンサートに行ってまいりました。 プログラム 開演前 クラリネットアンサンブル 0.カンタベリーコラール 第1部 1.Yours! 2.マーチ「ブルー・スプリング」 3.ジェネシス 4.シンフォニック・プレリュード 第2部 CBS歌謡祭 ~昭和の歌姫からYou Tuberまで 40年の時代をめぐる1日限りのスペシャルステージ~ 共演:相模原市立大沢中学校吹奏楽部 5.勝手にしやがれ(沢田研二) 6.川の流れのように(美空びはり) 7.恋するフォーチュンクッキー(AKB48) 8.SHAKE~世界に一つだけの花(SMAP) 9.うっせぇわ(Ado) 10.銀河鉄道999(ゴダイゴ) 11.千と千尋の神隠しハイライト 第3部 12.シンフォニエッタ第1番「見晴るかすサーガ」 ~第40回記念グリーンコンサート委嘱作品(世界初演)~ アンコール 13.宝島 レポート カンタベリーコラール 開演前のステージコンサートとしてクラリネットアンサンブルによる発表がありました。もともと音域が広いクラリネット族の特技をさらに伸ばす形となるエスクラからコントラアルトまでという豪華編成での演奏ということもあり、吹奏楽編成とは違った形の魅力(同族楽器によるハーモニーのような)を感じつつ、カンタベリーコラールの壮大な世界観にひたることができました。 Yours! いつもはコンサートの締めの曲として演奏されていますが、今回は初のオープニングでの登場となりました。パンフレットに掲載されていたプログラムでたどるグリーンコンサートの軌跡によればYours!は、2012年5月27日に世界初演されており、もう10年経ったのか・・・と時の流れの早さを感じ、感慨深いものがありました。これまでYours!は、2箇所あるソロを共演した中学生が演奏したり、その演奏会を花道に退団する演奏者がいればソロを演奏したりと様々な形態で演奏されてきましたが、そういったシーンの数々が蘇ってきて、感慨深いものがありました。 マーチ「ブルー・スプリング」 フタを開けてみないとわからないところではありますが、なんとなく今年の課題曲の1番人気になりそうな気がするマーチという感じで、年度初めから他の団体の生演奏を何度か耳にしてきましたが、やはり市吹の演奏となると音のクリア感、厚み、深みがあってかなりの聴き応えを感じました。曲紹介によれば、作曲者の青春とこの曲を演奏するスクールバンドの皆さんの青春をモチーフにした曲とのことで、その趣旨がまさにコンクール課題曲のド・ストライクなのでは?と感じた次第です。 ジェネシス 鈴木英史氏によるマーチのようなマーチではないという楽曲とのことですが、第一印象としては2012年の課題曲の行進曲「よろこびへ歩きだせ」に少し感じが似ているとも思ったのですが、聴き進めると、宝箱に入った金銀財宝のようなキラキラした印象が感じられて、ステージが黄金色に輝いているような不思議な感触がありました。曲目解説によれば「和声や肉声を大切にした表現、形式の解釈で変わるテンポ感やフレーズ感、楽譜を読むことから表現を考えるという基本を見直そう・・・」ということが作曲者解説より引用となっており、これまでと少し違った形の切り口で作られた楽曲なのかもと感じました。 シンフォニック・プレリュード 曲目解説によれば、この曲には第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦での戦没者へのメッセージが込められているとのことで、本日は全世界の平和を願って演奏するという趣旨が書かれていました。昨今の世界情勢から過去の歴史上の出来事だった世界大戦という恐怖の出来事が、再び繰り返されるかもしれないという不安が高まっていることから、演奏を聴きながら襟を正すひとときになりました。 CBS歌謡祭 毎度のことながら福本先生と高松氏の楽しい司会のもと第2部が始まりました。まずCBSといえば一般的にはCBSソニーレコードを連想するものですが、大真面目にCBSは「コミュニティーバンド相模原」ですと宣言され、そこは笑いのツボにはまりました。まずは昭和の名曲「勝手にしやがれ」「川の流れのように」を本人さながらの衣装をまとった歌い手を擁して演奏され、ある面では今ほど世知辛くなかったおおらかな昭和の時代を懐かしむひとときになりました。続いては平成の名曲「恋するフォーチュンクッキー」で若手の団員の皆さんが全世界で踊られたあの有名な振りつけを披露して場を大いに場を盛り上げました。AKB48も今でこそ坂道シリーズにお株を奪われてしまった感がありますが、そもそもAKB48が道を切り開かなければ坂道シリーズも生まれなかったのであろうから、その功績はやはり偉大であったと感じました。続いてSMAPの「SHAKE~世界に一つだけの花」は、ベテラン団員によるダンスということで、貫禄十分という感がありましたが、考えてみればSMAPのメンバーはアラフィフ世代であり、真摯にリアリティーを追求した結果だったのかなと感じました。 ここで令和のヒット曲うっせぇわにのせて共演の相模原市立大沢中学校吹奏楽部の三年生が順番に登場となりました。コロナ渦のため、じつに3年ぶりの中学生との共演となったこともあり、なんだかとても懐かしい気持ちになりました。そして中学生とともに演奏する曲は「銀河鉄道999」。こちらはささきいさおの?という福本先生のボケは思わずナイス!と思いましたが、スクールバンドに人気があるのはゴダイゴの方で、これは大阪桐蔭高校吹奏楽部が18番にしていることも多少影響があるのかもしれません。そして演出として二年生の皆さんがGE999のプラカードを持って登場し、そのプラカードがコンパスや三角定規などを借りて作られたものであるという紹介があり、手作りってこういうことなんだな!と改めて感じるところがありました。そして最終曲の千と千尋の神隠しハイライトでは、事前に高松氏から「これは並の演出ではありません!期待して下さい!」とのことで二年生のもう一方のチームによるハイライトの曲に合わせたストーリーでのハクと千尋、ユバーバとのやりとりが披露されました。こちらですがセリフは一切ない無言の演出ということで、バレエに通づる芸術性があると感じました。余談ながら昨年、新国立劇場バレエ団 白鳥の湖<新制作>を鑑賞する機会があり、その素晴らしさに大いに感動したものですが、その時に勝るとも劣らない感動がありました。また白鳥の湖の時は一流のバレエには一流の音楽との協力が欠かせないということで、東京フィルハーモニー交響楽団がオケピットで演奏していた訳ですが、今日は相模原市吹メンバーと三年生の素晴らしい演奏と二年生の素晴らしい演出が協力して素晴らしい演奏になった!と感じました。 シンフォニエッタ第1番「見晴るかすサーガ」 第40回記念グリーンコンサート委嘱作品(世界初演)ということで、大いに注目の曲でした。解説には団の歴史や団員の方々の想い、そこから見出された家族の絆。そして地域の人々とのつながりを大切にするといった団の特色など一言では言い表せないような大きなテーマを3楽章で表現したとのことで、そのストーリー性を想像しながら聴く楽曲であると感じました。1楽章はクラリネットのソロからスタートしますが、楽章が進んでも時折トランペットのソロパートが出てくる部分があり、じつはこのソロの部分は絆は大事と言いつつも「一人になって考える時間も必要だよ。」と言われているようで、テーマが深いなと感じるところでした。こちらの楽曲は、これからも磨きをかけてゆくという話が福本先生から出ていたので、今後どのように進化してゆくか将来が大いに楽しみなところです。 宝島 アンコールの定番中の定番とも言え、海外でも遠征したスクールバンドが演奏したことから現地の聴衆が「あの曲は何と言う曲?」ということで、周知が進み、今や世界の吹奏楽のポピュラー曲とも言えるところがありますが、演奏を聴くにあたってはアルトサクソフォーンの2回のソロをどのように演奏するのか?ということに注目が集まると思います。今回の演奏は、1回目のソロはおそらく楽譜通り?そして2回目はサクソフォーンパート(ソプラノ・アルト・テナー・バリトン)が全員出て、大ユニゾン(と思われる)を披露しました。 まとめ 今回は第40回記念ということで、演奏・演出をかなり盛り込んだ感がありましたが、コンサートパンフレットもかなり作りこまれた内容となっておりました。その中にプログラムでたどるグリーンコンサートの軌跡というページがあり、第31回から第40回までの曲名とパンフレットデザインが掲載されており、そういえばこの時はこうだったな・・・と10年を懐かしく振り返ることができました。続いて相模原市民吹奏楽団の11年を振り返るでは、2011年~2022年の出来事がかなり詳細に記録されており、こちらも山あり谷あり、時間が過ぎるのは早いけれど、こうやって振り返ることで、早いけれど1つ1ついろいろなことを残してきたのだなと感じました。そして結びに「これから50年続く吹奏楽団を目指して」という手記が掲載されており、大いに共感できるものがありました。