演 奏 会 の 旅

2023/10/22(日)04:40

オーボエ×バンドネオン Tours vol.4

開催日:2023.10.17(火) 19:00開演 場所 :小布施 Jazz喫茶 BUD オーボエ×バンドネオン Tours vol.4へ行ってきました。 プログラム 前半 1.エル・チョクロ / A.ビジョルド 2.パストラーレ / J.ラインベルガー 3.風笛 /大島ミチル 4.フルートソナタ変ホ長調BWV1031 / J.S.バッハ 5.亜麻色の髪の乙女 / C.ドビュッシー 6.エスクアロ / A.ピアソラ 後半 7.めぐる季節 / 久石譲 8.プレパレンセ / A.ピアソラ 9.ニューシネマパラダイス / E.モリコーネ 10.ブルーノとサラ / A.ピアソラ 11.アヴェ・ヴェルム・コルプス / W.A.モーツァルト 12.リベルタンゴ / A.ピアソラ アンコール 13.ガブリエルのオーボエ / E.モリコーネ 14.風笛 抜粋/大島ミチル レポート エル・チョクロ オープニングは、古典タンゴの有名曲でとうもろこしの意味を持つこちらの曲でスタートとなりました。演奏後に、藤井氏から「なぜとうもろこしなの?」という話がふられ早川氏からいつくかの説があるという話の後、ドイツではとうもろこしは食べるためでなくバイオ燃料として栽培されているというお話があり、それは食べてもおいしくない品種とのことでした。 パストラーレ 牧歌を意味する曲ですが、藤井氏がドイツの農家で演奏した想い出の曲との紹介がありました。曲調は農家とそれをとりまく広大な畑を彷彿させるものがあり、その情景が目の前に浮かんでくるような印象がありました。 風笛 1999年に放映されたNHK朝の連続テレビ小説あすかのテーマ曲で、番組そのものは和菓子職人を目指すヒロインを描いたお話との紹介がありました。そしてこの曲はオーボエという楽器を世に知らしめたということが一番のポイントで、藤井氏によればそれまでオーボエはクラリネットの親戚?みたいな認知度しかなかったものが、しっかりオーボエとして認知されるようになったことが大きいということでした。楽曲はいかにも朝ドラらしいさわやかな曲調ですが、どこか寂しげなところもある…というのがオーボエ特有の哀愁の帯びた音色が醸し出すところなのかなと感じました。 フルートソナタ変ホ長調BWV1031 モーツァルトの有名なソナタの1つで、これまで私も何度か耳にしたことがありましたが、それをオーボエとバンドネオンで演奏するということに大きな意義があると感じました。Allegro moderato/Siciliana/Allegroの3楽章に分かれた大曲をゆっくりと楽しませていただきました。 亜麻色の髪の乙女 ドビュッシーの有名な楽曲の1つとして、よくアンコールなど演奏されるおなじみの曲ですが、コンサートの中にあって、ちょっと曲の毛色を変えたい…といった時に挟むのにちょうどよい楽曲なのかなという印象を受けました。今回は前曲がモーツァルト。後曲がピアソラなのでモーツァルトからピアソラだと聴き手の耳もついてこないと踏んで、ある意味耳休めのための1曲という構成と感じました。 エスクアロ 鮫で有名ですが、ピアソラは鮫を釣る趣味があったそうで、そこから曲名に波及していると推測されます。前半を締めくくるにふさわしいピアソラの有名曲にオーボエとバンドネオンの相性の良さを改めて感じたひとときになりました。 天空の城ラピュタより君をのせて 今回もプログラムには無いサプライズでバンドネオンソロによる演奏となりました。早川氏がヨーロッパ遠征中に見たフランスでの街並みがあたかもラピュタの古都市を連想させた。という着想から始まったこちらの楽曲ですが、ラピュタの雰囲気が手に取るように感じられるものでした。 めぐる季節 地元久石譲氏の楽曲で魔女の宅急便のメドレーにはほぼ必ず入る人気曲が取り上げられました。藤井氏によれば、久石譲氏の音楽はヨーロッパでも人気が高いそうで、コンサートの価格設定もだいぶ強気とか…。いずれにしてもそんな大作曲家を生んだこの地域での里帰り演奏といった風情がありました。 プレパレンセ 直訳すると用意はいいか?とのことで、ピアソラがヨーロッパ留学から故郷アルゼンチンに帰って、自分のカラーを生かして作曲活動を始める中で自分自身への気合も込めて作られた楽曲なのかなという印象を受けました。 ニューシネマパラダイス 3年ほど前に亡くなったモリコーネのおなじみの楽曲ですが、藤井氏より「どこかで耳にしたことがある曲。」との紹介から、認知度がある曲として捉えられました。私的には後半の部分がより親しみがありました。 ブルーノとサラ 映画音楽「新婚旅行」の曲とのことですが、その混沌たる曲調におおよそ新婚旅行の楽しい雰囲気は微塵もなく、いわば逃避行のようなイメージすら湧いてくるところがありました。演奏するお二人もこのことに言及されており、映画の内容が大いに気になるところでした。 アヴェ・ヴェルム・コルプス 世界各地でとても大切に演奏されているモーツァルトの楽曲という紹介がありました。そしてこの曲ではイングリッシュホルンが使われ、それに先立って藤井氏より楽器についての説明と楽器紹介をかねて新世界の家路が披露されました。そしてアヴェ・ヴェルム・コルプスは私的にもこの曲は何度も演奏しており、その神聖な曲調から教会での演奏というイメージがあり、このときばかりは小布施 Jazz喫茶 BUDが教会に見えてきたという風景感がありました。 リベルタンゴ あまりにも有名なピアソラの楽曲ですが、ちょうどいま私自身この曲を吹奏楽編成で取り組んでおり、それぞれ伴奏の部分と旋律の部分を練習しながら、なかなかに骨のある曲として練習時間をかけているところですが、その楽曲をオーボエとバンドネオンのコラボで聴けたことで、曲のイメージを膨らませるという部分で自身の練習にも大いにプラスになるところがありました。 ガブリエルのオーボエ アンコール1曲目は、昨年から藤井氏がレパートリーにしているこちらの曲の演奏となりました。ちょっと長めの前奏がバンドネオンにより行われ、じゅうぶん聴き手の期待感をあおっておいてから、オーボエがあの有名なメロディーを奏でる…というステキなアレンジがとても素晴らしいと感じました。 風笛 抜粋 アンコール2曲目は風笛の後半を抜粋しての演奏となりました。 まとめ ちょうど1年前に同じ会場でオーボエ&バンドネオンTours Vol.1を拝聴してから、お二人はVol.2、Vol.3と世界をまたにかけてツアーをされてきたとのことで、今回のVol.4は新プログラムでのリ・スタート感があり、さらに磨きのかかったお二人の演奏と楽しいお話に夢のようなひとときを過ごさせていただきました。

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