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テーマ:吹奏楽(3434)
カテゴリ:吹奏楽
開催日:2023.12.16(土) 14:30開演
場所 :相模女子大学グリーンホール 大ホール(1,790名収容) 関東を代表するバンドで市民に寄り添った楽しい演奏会を開いている相模原市民吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。 プログラム テーマ 市吹の響き 開演前 クラリネット八重奏 光と闇のコンフリクト 第1部 1.舞踏会の美女(L.アンダーソン作曲) 2.「ノートルダムの鐘」より (A.メンケン作曲/森田一浩編曲) 3.天国の島(佐藤博昭作曲) 4.久堅の幹(長生淳作曲) 第2部 5.組曲「展覧会の絵」 (M.P.ムソルグスキー作曲/鈴木栄一編曲) アンコール 6.2本のフルートとピアノの為の組曲 紅(くれない)より黄昏色(真島俊夫作曲) 7.Yours!(建部知弘作曲) レポート 光と闇のコンフリクト 前回演奏した5重奏のガラスの海と都市の情景と同じMICINA氏の楽曲で、HPを見たところ8重奏ならではの音域の広さと、クラリネットの持つ柔らかなサウンドを生かした作品という解説がありました。実際に聴いてみた印象としては、8人でやっているとは思えないような音の厚みと広がりが感じられました。そして何よりもこの曲にはなにやらストーリーが感じられ、そこを想像しながら聴くとさらに楽しくなるのかなと思いました。 舞踏会の美女 演奏会の幕開けにぴったりの楽しい楽曲ですが、私にとって初めて相模原市民吹奏楽団の演奏会を聴かせていただいた第42回定期演奏会の1曲目だったということもあり、大変強く印象に残っており、以来この曲を聴くたびに相模原市吹の舞踏会の美女を想い出す訳ですが、今日は本家本元の演奏を聴くことができ、17年前に初めて聴いた日のことを懐かしく想い出すひとときになりました。 「ノートルダムの鐘」より 私の中でノートルダムの鐘と言えば、2018年にアルプス一周特別公演で松本に遠征に来た大阪桐蔭高校吹奏楽部のミュージカルステージで強烈な印象を受けた楽曲なのですが、今回演奏されるのはそのミュージカル作品の中で生まれた音楽をつなぎ合わせたもので、伊奈学園総合高等学校の宇畑先生が全体の構成を考案し、森田氏によって編曲されたものとの曲目解説が書かれており、限られた尺の中にノートルダムの音楽の魅力を山ほど詰め込めこんだおいしいところ取りの楽曲なのかなと感じました。演奏は、歌のパートにもかなり時間が取られており、3年続いたコロナ禍ではタブーだった歌唱の解放も果たした感がありました。 天国の島 歴代のコンクール課題曲の中では、さくらのうたと並んで人気を争う印象のある楽曲ですが、特徴とすればいくつかのパートにソロという見せ場があるということで、これはさくらのうたにも共通することで、コンクール的にはどうかわかりませんが、演奏会の楽曲としては見せ場のある楽曲というのは演じ手も聴き手も楽しめる要素になるのではと思いました。余談ではありますが、演奏前に高松氏が「ちなみにこの曲をコンクールでやった方は拍手!」と問いかけたところ反応が薄かったということがありましたが、さくらのうたもそうでしたが、こういったソロの多い曲はコンクールでは点数を稼ぎづらい曲=不人気曲という傾向があるのかなという感じはありますが、曲にとって演奏されなければただの紙…といった価値観で考えると、コンクールでは不人気であっても終わってからも末永く演奏される方がじつは曲にとって幸せなのでは?と感じた次第です。 久堅の幹 今年の相模原市吹のコンクール自由曲ということで、いま一番上手に聴かせられる曲との紹介がありました。こちらの楽曲は5月のグリーンコンサートでも拝聴させていただいておりますが、その時の印象からするとひと夏かけて練習を重ねた成果によって、相当なクオリティーアップを感じることができました。コンクールの全国大会には1点足りなくて進出できなかったとのことですが、今日のこの日にこの素晴らしい演奏を満席のホールで聴かせていただけたことは、なによりの宝物であると感じました。 組曲「展覧会の絵」 今年はなぜかこの曲に縁があり、3月のSAXRENARDE Vol.5~小狐達の饗宴~におけるサクソフォーンアンサンブル。9月の巨匠(ユベール・スダーン)のタクト、子どもたちに Vol.3 ensemble NOVA。11月のポール・メイエ指揮の群馬交響楽団と聴いてきましたが、その集大成として私にとっては本命とも言える吹奏楽の展覧会の絵で締めくくることとなりました。演奏後に福本氏より「私が指揮者になって一番長い曲だと思います!」とのコメントがあったように30分越えという大作ながら、全15曲はカラフルな曲想にとんでおり、聴き手としても次はどんな曲(絵)が出てくるのだろう…とわくわくする部分があり、それがこの曲の人気が高い理由の1つにもなっているのかなと感じました。またこの曲は作られた年代が新しく、サクソフォーンやユーフォニアムといったクラシック音楽では編成に入らない楽器が入っていることも評価が高いところで、だいたい演奏終了後にこの2パートの奏者は単独スタンドで拍手を受けるというのもお約束なのかなというところです。そしてなんといってもこの曲の冒頭のプロムナードのトランペットの独奏は、相当なプレッシャーがかかる場面でこれまでの演奏会を聴いていてもなかなかすべての音を完璧に当てるのが難しいものと感じますが、そこはさすがの相模原市吹のリードトランペット奏者で演奏はパーフェクト。お見事の一言と感じました。 2本のフルートとピアノの為の組曲 紅(くれない)より黄昏色 強化合宿で行われたゲームのMVP賞品が、定期演奏会でソロを演奏できる権ということで、知っていたらMVPになりたくなかった?とのお話もありましたが、そこは演奏者冥利に尽きる光栄なことということで、ドレスアップしたソリストの安西綾香氏のオンステージとなりました。この楽曲は、組曲ということですが、調べたところ第1曲が秋の気配を感じさせる“秋風”。第2曲が秋の静かな夕暮れをイメージした“黄昏色”。第3曲が、燃え立つ紅葉を描いた“紅燃ゆる”とのことですが、純白のドレスということもあって黄昏色はとても清楚な感じの楽曲だなと感じました。 Yours! 演奏会の締めくくりはおなじみのYours!ですが、「あなたの」ということで、最後まで「の」にこだわった初志貫徹の徹底ぶりは素晴らしいと感じました。 まとめ 今回は、第2部が展覧会の絵1曲のみというオーケストラのコンサートのようなプログラム構成でしたが、改めて1つの曲をじっくりと楽しむというのも良いものだなと感じ、テーマである「市吹の響き」を存分に感じることができました。またパンフレットの団長のご挨拶に「2年後の第60回記念定期演奏会に向け」という記述があるのを見て、つい何年か前に50周年記念だったけれど、時の経つのは早いものだなとも感じ、改めて歴史は刻まれているのだなと感じました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 17, 2023 09:59:59 PM
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