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カテゴリ:ファッションビジネス
パリコレ出張の際、パリで必ず呼び出してディナーを共にした仲間がいます。パリ在住ファッションジャーナリスト村上新子さん、流暢にフランス語を話す人でした。毎回面白いレストランを予約してくれました。
ダイアナ妃があの事故の夜予約していながらパパラッチがホテル前に待機していたのでキャンセルせざるを得なかったBenoit(ブノア。元々は家庭料理のビストロ、のちにアラン・デュカスが買収)。シャネルが毎シーズンコレクション会場にしているグランパレの横のMini Palais(ミニパレ。ミシュラン星を獲得した若手シェフが手がけた)。フランス南東部ヴァランスの父親のレストランを2つ星から3つ星に復活させた女流シェフのLa Dame de Pic(ラダムドゥピック。日本で修行経験あり)。エッフェル塔の夜間照明がガラス張り天井から客席に降り注ぐLes Ombres(レゾンブレ。ケ・ブランリー美術館最上階)。その後もこの4つのレストランには部下たちを連れて何度も足を運びました。 ![]() ケ・ブランリー美術館 37, qual Branly-portil Debilly, 75007 Paris ![]() 最上階レストランLes Ombres(レゾンブレ) レストランからの眺めという点ではキ・ブランリー美術館のレゾンブレが最も印象的でした。この美術館はポンピドゥ大統領がポンピドゥセンターを、ミッテラン大統領がバスティーユ新オペラ座を推進したように、シラク大統領が在任中の代表的な文化プロジェクトに据えて強力に後押しして建てた美術館、設計はフランスを代表する建築家ジャン・ヌーヴェル(カルティエ財団現代美術館や汐留電通本社ビルなど設計)。最上階レストランの天井はエッフェル塔のような鉄骨に総ガラス張り、エッフェル塔のチカチカピカピカ照明の光が流れ込む光景は圧巻です。 私の記憶が間違っていなければエッフェル塔は1999年からチカチカピカピカ光るミレニアム仕様は始まり、日没後毎時00分から10分ほど派手に点滅、パリの夜を彩っていました。2000年1月1日を迎えるまでこの照明プレゼンテーションは続くと聞いていましたが、どうやら好評につきその後も毎時00分の点滅は継続されているようです。 ![]() 光り輝くエッフェル塔 エッフェル塔の照明点滅が始まった頃、私たちはちょうど松屋銀座店大改装を計画しているところでした。フロア構成を大きく変え、ルイヴィトンはじめヨーロッパの有力ブランドのショップを一気に導入、できれば古くなった外壁にも手を付けてイメージチェンジしようと議論していました。 パリコレ出張時、たまたまエッフェル塔がよく見える三宅一生さんのパリアパートに招待され、そのテラスでエッフェル塔を眺めながら三宅さんが「百貨店も光を取り入れてはどうですか」とアドバイス。確かに百貨店の外壁はどこも無機質、夜景が美しいなんてことはほとんどなく、特に日本では記憶がありません。このアドバイスはガツンと響きました。 帰国した私はすぐ宣伝装飾部の社員、内装工事をお願いしていた乃村工藝社の担当者に3泊5日パリ出張を持ち掛けました。視察目的は2つ、エッフェル塔の照明点滅とボンマルシェ百貨店ファッション雑貨平場の什器。特にエッフェル塔のミレニアム照明をじっくり視察して、百貨店の外壁に光をセットするならばどういうことができるか提案して欲しいとお願いしました。早速彼らは建物改築に関わる大成建設の担当者も連れて3泊の弾丸パリ出張に出かけました。 ![]() かつての松屋銀座 ![]() 改装工事のための仮囲いデザインは原研哉さん ![]() LED照明ガラス張りの外壁に 彼らの帰国後アートディレクター原研哉さん(大改装時のグラフィックデザイン全般を依頼)も交えみんなで議論、スライド点検のホワイトボックスのようにぼんやりと銀座のワンブロックを照らす柔らかな光にしよう、と。そのため外壁は総ガラス張り、内側には光を乱反射させるために凹凸を付けた白い鉄板を設置、そこに当時最新だったLED電球を多数セット、光の色彩コントロールはコンピュータ制御(1700万色に変更可能)となりました。閉店後畳1畳ほどのサンプル壁をクレーン車で吊り上げてどのように光が反射しどんな見え方なのかチェックして最終施工に入りました。 松屋銀座大改装は1999年12月計画開始からオープニングの2001年春までトントン拍子で進みましたが、外壁工事にはかなり時間が必要。現在のガラス張り外壁を完成させるにはさらに1年かかりました。コンピュータ制御で1700万色に色彩変換は可能ですが、基本的にはぼんやりとした白っぽいブルー照明、クリスマス期間くらいは緑と赤のクリスマスバージョン、何か特別なプロモーションがあるときも基本色以外の多色使いはありと決めました。 ![]() クリスマスシーズンの外壁 こうして現在の松屋銀座の外壁は総ガラス張りLED照明になりましたが、その原点はエッフェル塔ミレニアム仕様の照明、三宅一生さんの一言がきっかけでした。閉店後ぼんやり光る外壁を見上げるたび、パリアパートのテラスで三宅さんと交わした会話のことを思い出します。あの一言がなかったらただのガラス張り外壁になっていたかもしれません。 ちょっとおのぼりさんツアー案内みたいですが、パリにお出かけの皆さんにはトロカデロ広場から見上げるエッフェル塔チカチカピカピカと、キ・ブランリー美術館最上階のレストランで天井に降り注ぐ光の体験をお勧めしたいです。感動しますから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2026.05.07 23:20:40
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