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売場に学ぼう by 太田 伸之

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Nobuyuki Ota

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2019.04.19
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学生時代にファッションビジネスの世界を目指したときから、なかなか普通にはお会いできない業界の大先輩たちに私は引き立てられてきました。大学3年生で早くもマーケティングの原稿をメディアに書くチャンスを与えられ、先輩たちからものの見方を教えていただきました。8年間のニューヨーク生活から日本に戻って以降、今度は自分が若者を教える番だと人材育成をライフワークにしてきました。

帰国翌年、まず最初に私塾「月曜会」をスタート。社会人、大学生、デザイナーの卵たちなどヤル気のある若者を繊研新聞の告知欄で集め、売場でどう時代を感じるか、そのためにどのように売場状況を調べるかを教え、外部の編集者、経営者、デザイナーを招いて特別レクチャーをお願いしました。その後、そして現在も第一線で活躍している受講デザイナーやビジネスマンは何人もいます。

4年後、このボランティア勉強会を墨田区内でやってもらえないかと墨田区役所に頼まれました。両国にあった墨田区役所(現在は吾妻橋)の跡地にファッションビジネスの人材育成機関を設立する準備会議が始まりました。当時松屋の会長だった山中さん、繊研新聞編集局長だった松尾さんら数人の専門委員と共に育てるべき人材像やカリキュラム案を議論しました。このあと紆余曲折ありましたが、3年後に墨田区に産官協同のIFIビジネススクールが誕生しました。

IFIビジネススクールの構想が現実味を帯びてきた頃、ファッション専門学校側から異論の声が上がりました。産業界がどうしてわざわざ教育機関を作るのか、これまで産業界に多数の人材を輩出してきた専門学校に人材育成を任せてくれ、産業界はもっと専門学校に物心両面で協力して欲しい、中には学生募集で専門学校とバッティングするのではと反対意見もありました。

我々が作ろうとしている人材育成機関は専門学校と敵対するものではない。専門学校や一般大学を卒業した若者、あるいは業界で既に仕事を始めている社会人を対象としており、高校新卒者を集めるつもりは最初からありませんでした。でも学校側に誤解はあったので、敵対するつもりは毛頭ないことを証明するため、私は文化服装学院のファッション流通専攻科とマーチャンダイジング科3年生の2クラスを年間通して指導することに。それぞれの学科に相応しいカリキュラムを自分で作って毎週2クラスで指導、本業の仕事とIFIビジネススクール設立準備もあってかなりの負担でした。しかし、専門学校と敵対するつもりが全くないことを身をもってお見せして学校関係者の誤解を解くしかなかったのです。



また、文化服装学院ファッション流通専攻科から自分の職場に採用した若者も少なくありません。東京ファッションデザイナー協議会、その後私が移籍した百貨店のシンクタンク部門、デザイナーアパレル企業でも、自分が直接指導した感度のいい若者を引っ張りました。就職先が内定がしていた学生に「うちに来ないか」と誘って自分の部下にし、学校側から「強引過ぎます」と叱られたこともありました。専門学校は専門学校で優秀な人材を育てている、だから自分の職場で多数採用して誤解を解きたかったのです。

こうして文化服装学院で毎週指導した学生の数はこれまでに千人はくだらないでしょう。そして、IFIビジネススクールが発足してから夜間プログラムや全日制クラスで指導した若者の数も同じくらい。他にも、プレス担当を育成するミエエファップジャポンや目白デザイン専門学校(現在の目白ファッション&アートカレッジ)、東京モード学園でも単発の特別講義ではなく1年間あるいは半期毎週教壇に立ったことがあります。

さらに、勤務した企業では「MDゼミ」もしくは「MDスクール」、「バイヤーゼミ」など毎週従業員にマーチャンダイジングの基本や発注の仕方を長期間指導しましたから、私の教え子と呼べる人はファッション流通業界内に述べ数千人はいます。

一般大学や関係企業から単発の講義やセミナーを頼まれることも多いんですが、私はこれを人材育成とは考えていません。人材育成とは、カリキュラムを作成し、順を追って教え、時には大量の宿題を出し、ノウハウやスキルを伝授して受講者が「覚える」ではなく、自ら「考える」を導くものと捉えています。なので、若者の指導を引き受けるのであれば、ある程度まとまったコマ数じっくり教えたいですね。

今年から久しぶりに年間を通してほぼ毎週指導することになりました。まずFacebookでこのクラスだけのグループを作り、学生全員に参加してもらい、私が講義で見せたいデータや写真、映像はここにどんどんアップしていきます。いちいち教室でパソコンやプロジェクターをつなぐ必要がなく、受講生と担任の先生は自宅でもこれを閲覧できるので便利です。

ところが、学校側から指導要綱など数種類のドキュメント提出を求められてびっくり、アナログ時代はこんな書類は作成提出しなくて良かったんですが....。受講生の出欠も教員サイトをログインして自分たちが入力せねばなりません。正直言って、面倒です。パソコンとネットの普及でペーパーレスのはずが、実は作成書類がかえって増える傾向にあるとよく聞きます。学校も同じです。ま、ルールなのでやるしかありません。

人材育成は仕事ではありません、わがライフワークなんです。多くの若者を刺激し、有能な人材を一人でも多く育てることが私を育ててくれた大先輩たちへの恩返しと思っています。






Last updated  2019.04.19 18:00:11

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