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前回の続きでスーパースターその極意のメカニズム 高岡英夫著 2001年1月出版より
高岡 専門的な野球のピッチャーやテニスの選手やボクサーという腕振りを専門種目をする人達は、ある程度肩甲骨が動くよね。だけど、肩包面ができるところまではいかない。 肩包体と肋骨の部分は、普通くっついて、前から見ても後ろから見ても胴体というひとかたまりから腕が出ている形でしょう。ちょうど、箱から棒が出ているイメージじゃないですか。なぜそうなるかというと、いま言ったこの肩包面が肋骨とぴったりくっついて一体になってしまっているからで、それを引き剥がすというのは大変な作業なんだよね。 だから、肩包面というのは、非常に素晴らしい達人にしか生まれてこないものなんだけど、高橋の場合、これが強力にできている。それが強力にできているとどうなるかというと、腕を振るのではなく肩包面、肋骨とその上に乗っている肩包体の間をずらして走っているような感じになる。こういう感じでずらしている(高岡実演)。 見ていただくとわかるけれど、僕の肩は前後に動いているけれど、肋骨は正面を向いたまま、全く動いてないでしょう? この場合、僕は椅子に座っているので肋骨が動きませんが、走る場合は、肩包体と肋骨は逆方向に動くから、その肋骨の動きが下半身に伝わって走れるわけです。この肩包体と肋骨のずらしが、腕振りの代わりをしているんだね、高橋は。 小松 なぜ、腕ではなく、肩包体を動かした方が速く走れるんですか? 高岡 腕だけではそんなに質量はないので、かなりの振幅で振らないと足とのバランス効果が出ないんだ。だけど、この肩包部と腕を合せると大変に質量が大きくなる。だから、それを少し動かしただけでも、足に対するバランス効果は腕に比べて非常に大きくなるんだよ。 先ほども言いましたが、この肩包面ができるのは大変なことなんだよ・・・(省略) 小松 思い返すと、鎖骨辺りから上が動いていましたね。 高岡 動いていたでしょう。肋骨と鎖骨の間で切れて、上だけが動いていたよね・・・(省略) 小松 特に疲れてきたとき、上体を使っていたと言われています。 高岡 実際に、前半に比べて、後半のほうがずっと肩包体を使っていたよね。 小松 一見、肩の動きが大きくなったように見えたけれど、上体は全くブレていなかったですね。それとスパートする瞬間も、パパッと動くのは、この肩包面あたりでしたね。 高岡 普通の選手がただ肩を動かしてもだめだけど、肩包面があるからこそできたことだよね。肩で走っているようになると、普通は疲れてしまってアップアップの状態になって、いわゆる「肩で走っている」、「肩が振れてしまう」ことになる。だけど、高橋はまったく逆だった。同じ肩が振れているのでも、肩包面ができていると内容がまったく反対になるんだよ。 疲れてきた時というのは、相対的により優れたパフォーマンスになるんですよ。疲れると生化学的、生理学的に落ちていくわけですから、その中でなおかつ走り切るためには、より身体意識の働きが大事になる。疲れた肉体を支えるのは精神力だ、と普通言われますが、精神力ではなく、身体意識の働きなんですね。身体意識が残されている、限られている生体としてのエネルギーを使わせるということなんですよ。 小松 なるほど、これで、なぜあんなに腕を振らずに走れたのかがわかりました。 では明日の続きは 江戸人の走法-斜め走り 11/20(日)東京国際女子マラソン 高橋尚子応援キャンペーン実施中! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.11.16 11:25:51
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