2016/10/11(火)22:31
ろびこ 『 となりの怪物くん 』…… この子たちの 「停滞した恋愛模様」 をずっと見ていたい
★ 『 となりの怪物くん 』 ろびこ (2008年~連載中)
レンタルコミックにて、既刊11巻中、10巻まで読了。
原作漫画のあるアニメ作品の、原作とアニメ、どちらを先に観るか (読むか) は、割と悩ましい問題だ。
最近はアニメの作画力が向上し、声優の演技力も安定してるので、イメージが全く違ってガッカリ…ということは少なくなったが、そういうリスク回避の観点では、アニメが先の方が、若干、無難な気はする。
ただ、逆に、アニメが原作に忠実なあまり、アニメが良かったからと言って、すぐに原作を読むと、特に新しい感動がなく、読み終わってしまうものも、正直、ある。
最近だと、 『ちはやふる』 は、アニメを観た後に原作を読んでも、新たな魅力 (実際は原作の方が先なのだが) を十分堪能できたが、 『妖狐×僕SS』 は、残念ながら、少なくとも、アニメと重複する部分については 「アニメで観たな~、これ」 みたいな感じが付きまとって、先を読む楽しみが、ほとんど味わえなかった。
さて、この 『となりの怪物くん』 も、アニメの方を先に観たわけだが、アニメと重複する4巻までも含めて、原作の方が、かなり良いと思った。
まず、絵柄が良い。
甘過ぎず渋過ぎず、女の子は可愛く男の子はカッコいい。主要人物は髪型だけでなく、顔や表情で描き分けもできている。
さほど感動的だとか、セリフが素敵とかいうシーンでなくても、 「絵 (顔) が可愛い、カッコいい」 という理由で見とれて、ページをめくる手が止まることが多々あった。
また、セリフやモノローグが、意外と考えさせられるということもあり、恋愛漫画にしては、読むのに、かなり時間がかかった。
おまけの4コマ漫画等も手抜きがなく、楽しい。
アニメを観ていた段階では、 「恋愛か勉強かの選択」 とか、「不器用な若者たちの人間関係の構築」 とか、普通の恋愛学園ものよりは、少し捻って描いた…って程度の話だと思って観ていたが、改めて原作で読んだら、意外と内容が深くて哲学的な要素がある (…ような気がする)。
恋愛と 「友情」
恋愛と 「自意識」
恋愛と 「プライド」
恋愛と 「独占欲」
恋愛と 「嫉妬」…etc.
いちいち恋愛に絡めてはいるが、後者との 「折り合い」、「葛藤」 の切なさを、深刻になりすぎないコメディタッチで、丁寧に描いていく。
この日記で紹介してきた最近の恋愛漫画は、 『君に届け』にしろ、 『失恋ショコラティエ』 にしろ、 『アオハライド』 にしろ、 『スキップ・ビート!』 にしろ、おしなべて、「たかだか、一時期の恋物語をダラダラ引き延ばし過ぎ」と批判してきた私だが、この 『となりの怪物くん』 に関しては、むしろ、ずっと、どちらつかずの一進一退を見ていたいとすら思う。
今のところストーリーの行く末は全く不明だが、吉田秋生の 『バナナフィッシュ』 の連載中ほどではないものの、なんとなく、 「寂しいラスト」 へと導かれているような気がしてならないので…。
<関連日記>
2012.3.12. 久しぶりに、全巻買ってもいいと思った・・・ 『 ちはやふる 』 (原作)
2012.4.1. 何だかよく覚えてないけど癒された ・・・ 『 妖狐×僕SS 』 (アニメ)
2012.8.30. 最終的に誰と誰がくっついても、どうでもいい恋愛漫画 ・・・ 水城せとな 『 失恋ショコラティエ 』
2012.10.6. 初回観ての感想 ・・・ 『 となりの怪物くん 』
2012.10.24. とんとん拍子で 「高校デビュー」 を果たしていく女の子 の お伽噺 ・・・ 椎名軽穂 『 君に届け 』
2012.11.26. 恋愛漫画 の見本のような ・・・ 咲坂伊緒 『 アオハライド 』
2012.12.29. 結局、原作漫画の宣伝か ・・・ 『 となりの怪物くん 』 、 『 神様はじめました 』 感想
2013.1.27. 無自覚な 「魔性の女」 の物語 ・・・ 仲村佳樹 『 スキップ・ビート! 』
2013.1.13. 初回観ての感想 ・・・ 『 ちはやふる 2 』
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