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カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『 女王の花 』 和泉かねよし (2008年~) 電子書籍無料版およびレンタルにて、既刊11巻読了。 和泉かねよしさんの漫画は、先に 『そんなんじゃねえよ』 (全9巻) を読んだのだが、 「イケメンの2人の兄から異常に愛され奪い合いされる平凡な妹」 という設定が、「最近の フラワーコミックスお得意のアレ か」 という印象で、無料3巻でやめるつもりだったのだが、3巻読んでみると、きっぱりやめるほどつまらなくもなく、…というか、巻末の 「引き」 が上手く、ギャグセンスも悪くないので、なんだかんだで最後まで読んでしまった。 ただ、兄妹間の恋愛というキモチ悪さには目を瞑るとしても、ヒロインの魅力も兄の出生の秘密も、全てが 「後付け設定」 的な為、兄妹間の恋愛に説得力がなかったことと、一つ一つのギャグは割と可笑しいのだが、2ページに1回位の頻度でギャグを落としまくるので、却って麻痺して笑えないという欠点もあり、総合的には 「残念な作家さん」 という評価で終わった。 そういうわけで、この 『女王の花』 は、最初から全く期待せずに無料版から読み始めたのだが、期待が無かった分、 「案外、面白い」。 勿論、 「異世界」 系 「王家もの」 の少女漫画は捜せば色々あるので、どうしても、どこかで読んだ (観た) 話のような気がしてしまうのは否定しない。 「王位継承争い」 は大前提として、 「主人公に思いを寄せる忠実な臣下」 とか、 「親である王 (王妃) との確執」 とか、 「政略結婚」 とか、まあ、そんな感じで、これまで感想書いただけでも 『イズァローン伝説』 、『天馬の血族』 、 『BASARA』 、 『黎明のアルカナ』 、『乙嫁語り』 、また、最近、アニメ化された 『暁のヨナ』や 『それでも世界は美しい』 など、玉石混淆、色々思い当たる。 Amazon のレビューを読むと、 「稚拙」 とか、「画力の低さに萎える」 というような、多分、私同様、学園ラブコメ出身の作者に対する偏見混じりの感想が見られるが、そりゃまあ、竹宮惠子や田村由美などと比べてしまうとアレだけど、ストーリー的にも作画的にも頑張ってる方だと、私は思う。 少女漫画なのだから、ある程度の 「逆ハーレム」キャラ設定は、仕方ないだろう。 逆ハーレムと言っても、どこぞの乙女ゲーやら『王家の紋章』 のように、ただヒロインの可愛さ目的や競争意識だけで男が群がってくるわけではなく、それぞれに納得できる理由があり、背景もきちんと描かれていて、 (今までのところ) 無駄なキャラクターは殆ど登場しないし、個々に魅力がある。 ヒロインの戦略能力や統治能力についても、具体的なエピソードに基づいて語られており、単に 「性格が良いから崇拝される」 だけのお姫様ではない。 厳しい目で見れば、エピソードが短絡的とか、ご都合主義だとか言えなくもないが、どんな漫画でもそういうところはあるし、必ずしも、説明的で現実的な物語が優れているとも限らない。 作者は結末も想定済みで描いているらしいので、『そんなんじゃねえよ』 で感じた行き当たりばったり感や無駄なエピソードも少ないし、基本シリアスだが、細かいギャグセンスも活きている。 この2作品だけで判断するのは早計かもしれないが、この作家さんは、こういうシリアス・ファンタジー路線が向いているように思う。 <関連日記> 2012.3.25. キャラクターの魅力が長編漫画の命 ・・・ 田村由美 『 BASARA 』 2012.3.26. もう漫画は描かないのだろうか ・・・ 竹宮惠子 『 イズァローン伝説 』 2013.2.28. 大作家 最後の大長編 (?) ・・・ 竹宮惠子 『 天馬の血族 』 2013.5.10. 色んな面で何かが足りない ・・・ 藤間麗 『 黎明のアルカナ 』 2014.4.23. 2014春アニメ 私的注目作品 (メロドラマ編) ・・・ 『 それでも世界は美しい 』、『 一週間フレンズ。 』 2014.6.24.ノンフィクション と錯覚させてしまうほどの 圧倒的な作画力 ・・・ 森 薫 『 乙嫁語り 』 2014.9.7. 「完結しないこと」 にイラつく ファンの皆様の心情をお察しします ・・・ 細川智栄子 『 王家の紋章 』 2015.1.26. 子供にも大人にも読ませたくない少女漫画 ・・・ 青木琴美 『 僕は妹に恋をする 』 ほか
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最終更新日
2016年10月10日 23時09分53秒
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