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2016年05月21日
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カテゴリ:北朝鮮
 北朝鮮の朝鮮労働党第7回大会以降、メディアでは多くの報道がなされている。金正恩がスーツを着たといった私的な記事や、核を放棄しないというありふれた内容の記事、変化のない北朝鮮に失望と批判を加える報道もあった。

 しかし、「北朝鮮の科学技術政策史」を研究した専門家は、今回の党大会で北朝鮮が自らの未来ビジョンを「科学技術」として提示したことに注目する。北朝鮮は歴代の党大会でも絶えず科学技術政策を提示してきており、特に今回の党大会では科学技術を優先的に集中し、経済発展と未来の科学技術強国になることを夢見ているということだ。

 科学技術をキーワードに今回の党大会を分析してみると、われわれが備え、準備すべき「新しい北朝鮮」を展望することができる。民族は一つ、南北関係の研究者グループでは、専門家の寄稿・座談として連載企画を準備した。(編集者注)

(1) 北朝鮮の党大会、見るべきものはない宴だったのか−「科学技術」で未来ビジョンを提示
(2) 北朝鮮が夢見る科学技術強国は実現可能か−歴代党大会と科学技術政策の分析
(3) 「専門家座談会」北朝鮮の未来に注目する

カン・ホジェ(NKTech.netキュレーター、極東問題研究所客員研究員)

 北朝鮮の朝鮮労働党第7回大会が終わった。第6回大会が開催されてから36年というあまりにも長い時間が過ぎた後に開催された北朝鮮最高のイベントでもあり、多くの人たちが期待しながら見守った。しかし、そのイベントは飽き飽きする討論と会議に過ぎず、期待していた「核放棄」あるいは「非核化」「改革・開放」などに対する話は一つも出てこずに失望したというコメントばかりだった。

 事実、そんな期待をすること自体に無理があった。北朝鮮は核保有国であることを憲法にまで明文化したほど、核を放棄する考えはみじんもない。また4回の核実験によって、核物質に対する国際的な検証さえも不可能であり、北朝鮮が核を放棄し、核物質を完全に持たないと宣言しても、それを信じる者はいないし、あるいは検証する方法はまったくない。

 さらには、北朝鮮は社会主義完成を最上の目標として設定し、外部で期待する「改革・開放」をしないという話が相次いで出たが、この話も、「改革・開放」に言及したかしないかがこれからも変化の出発点として設定することは間違ったものだと言える。

 そうしてみると、今回の党大会で相次いで、そして詳細に言及していた「科学技術」「経済」と関連した話をきちんと分析する記事や分析はほとんどなかった。結論的に話をすれば、今回の党大会の核心は、「科学技術」を通じた「知識経済強国」建設を未来ビジョンの核心として提示した。

 ところが、これをまったく読み取れなかったのか、あるいはあえて無視したのか、ある新聞の社説では金正恩に過去から目をそらし、未来を見よと忠告していたものがあった。この社説を読んだ後、北朝鮮の歴史、それも科学技術政策の歴史を専攻した学者として党大会で提示された未来ビジョンを詳細に分析、紹介すべきだという考えが強く持つようになった。

 まず、党大会の意味と「総括報告」を読む方法と、今回金正恩が明らかにした総括報告の全体的な流れと重要点だけを整理してみよう。

党大会は過去に対する評価とともに未来ビジョンを提示する行事

 北朝鮮は「党=国家」を追求する社会主義国家だ。過去、社会主義国家や現実の社会主義国家すべてが「党=国家」を追求するものではないが、北朝鮮は「朝鮮労働党」が国家を主導することを追求する社会主義国家だ。

 このような国家で「党大会」というものは、彼らが追求する理想や未来のビジョンを論議する場だと言える。これまでの党大会で合意していた目標を遂行するために、すべきことをし、その結果がどうだったのかを評価することはもちろん重要なことだ。だが、より重要なのは、このような評価を基に自らの未来をどのようにつくっていくかを具体的に提示し、討論・合意を行う場だと言える。

 したがって、党大会では北朝鮮の最高指導者が「総括報告」を行い、これに対し「討論」を行った後、合意された結果に合わせて推進主体(人と組織)をつくる。その最終結果は「決定書」として採択される。

北朝鮮が今回の党大会で提示した「未来ビジョン」は?

 今回の第7回大会の意味をこのように把握すれば、当然、金正恩が2日間にわたって報告した「事業総括」とともに、他の者による「討論」、そして「決定書」をともに見るべきだ。そして、その内容も過去に対する評価とともに「未来ビジョン」をどのように提示しているかを見るべきだ。

 とはいえ、残念ながら第7回大会に関連する報道の大部分、あるいは分析は、このような北朝鮮の「未来ビジョン」をきちんと理解していない。一方で、熱心に分析しているのは人、すなわち人事に関することだ。もちろん、人事にすべてが込められていることもあるが、人と職責の変化だけで「コンテンツ」を読み取ることはできない。したがって、限界も多くならざるをえない。

総括報告は時間軸で分けて読むべき

 党大会のハイライトと考えることができる「総括報告」は、その構成自体が「過去に対する評価」と「未来ビジョンの提示」に分けられており、その分量も未来の部分が多い。そのため、政治や思想、経済、文化、党、南北関係などの項目(y軸)を過去/現在/未来という時間の順序(x軸)に分けてみると、総括報告がどのような構造になっており、どのような内容が込められているか、より具体的に理解できる。

 内容をこのように二次元で分けて見ると、これまで完了形で話をする部分と、現在進行型で話をする部分、そして未来目標として提示された部分がはっきりと区分されていることがわかる。

政治思想、軍事:過去完了型
北朝鮮「政治思想強国」に自信、軍事強国は現在進行形?


 過去完了型で提示された最も代表的な部分が「政治思想」の部分だ。「金日成・金正日主義」と命名された「主体の思想論」と「一心団結の革命哲学」「自主の政治路線」などが全社会にしっかりと浸透したという宣言があった。

 政治思想部分で国家の未来ビジョンについて話をする際には、「社会主義強国」「政治思想強国」という言葉をつかった。このような政治、思想部分が過去型で終わっておらず、未来志向的な側面まであるということを「継承」と「青年問題の解決」という言葉で表現した。これは政治、思想的に悩み、闘争していた時期に生きていた高齢者だけでなく、現在成長している青年と後の世代の政治、思想的問題を解決したという宣言である。政治、思想的側面からは過去、現在、未来のすべての時点において問題がないという自信にあふれた表現だ。

 軍事的側面は、過去完了型の表現もあるが、現在進行形で表現された部分もある。「核」をはじめ強大な武器と一心団結の軍隊まで保有し、「不敗の軍事強国」を成し遂げた」と宣言した。

 しかし、このような結果がこの十数年間「国防工業と国防科学技術」の発展によるものであり、いまだ完備されたものではないため、「核武力を質・量的に強化」すると述べている。核兵器保有を契機に確実な軍事強国になるにはなったが、まだ規模や水準、種類などの面をより強化すべきという未来の課題を付けて提示された。

経済、そして科学技術:未来ビジョンの核心
完了型は一度も使えなかった「経済」部門


いまだ完了型の表現を一度も使えずにいる部分は「経済」だ。したがって、今回の総括報告における未来ビジョン部分での革新的内容は「経済」であり、ここにおいて「強国」になるための方法などを込めた提案だと言える。

 「政治思想強国、軍事強国、経済強国」という表現は、1990年代後半に登場した「強盛大国」建設の三つの具体的な姿として提示されたようだ。当時も政治思想強国と軍事強国は成し遂げられたが、経済強国が完成すれば強盛大国になれるという主張だった。今回の総括報告の内容は、まだ強盛大国建設という目標を達成できなかったという間接的な是認だと言える。

 とはいえ、今回の総括報告は金正日時代に提示された強盛大国建設のための戦略よりは、さらに発展された形だ。これまでには経済や軍事の下位概念として登場していた「科学技術」に対する話が上方に調整され具体化された。そして目標を完全に達成できずにいるが、目標達成のための基盤や土台を構築したと、一部のみではあるが、先んじた部分では目標を達成したという。

 金正恩が直接「経済全般を見ると、先端水準にある部門がある一方で、ある部門は情けないほど劣後している」と述べたことが、これに当たる。先端水準にあるという話は軍需工業、すなわち機械製作工業、燃料工業、材料工業などと関連した部門において一部目標を達成し、これが他の部門の発展を助ける基盤であり土台として作用するだろうという主張だ。

 軍需部門では「完了型」なのが、民需部門ではまだ「完了型」になっておらず、今後軍需の民需転換が政策全体の基調として経済全般でも強盛大国の条件を完成することを目標としているということだ。

科学技術強国、経済強国より先に提示

 強盛国家論が提示された当時、科学技術は経済強国を建設するための方法、あるいは核心要素として強調され、「強盛国家建設のための三大基軸」として「思想重視、銃重視」とともに「科学技術重視」が取り上げられる程度だった。「科学技術重視」を通じて「経済強国」を建設し、「強盛国家」を作ろうという主張だった。

 しかし、今回の総括報告では「科学技術強国」という独自の部門として認められたことともに、「経済強国」建設よりも先に出された。すなわち、金正恩は「社会主義偉業の完成」のため5つの課題を提示したが、科学技術強国建設は「全社会の金日成・金正日主義化」に続く課題として提示された。これは、経済強国建設、文明強国建設、政治軍事的威力の強化よりも先立つ課題という点で、重要度が大幅に高まったものと評価できる。

絶えず科学技術発展計画を発表してきた北朝鮮

 総括報告の未来ビジョンにおいて最も重要な部分を科学技術において探しているという点は、「国家経済発展戦略」とともに、「国家科学技術発展戦略」が同時に提示されたという点でもわかる。項目に入っているためか、「国家経済発展戦略」が今回新たに提示されたという点、特に「5カ年経済発展戦略」が言及されたことに対し、メディアや分析が多く取り上げられている。

 しかし、「国家科学技術発展戦略」が同じ戦略レベルでともに言及されたという点は、どの記事や分析でも扱われていない。

 北朝鮮は第3次7カ年経済発展計画(1987〜93年)が失敗した後、一度も経済発展計画を公開・発表したことはない。だが、科学技術発展計画は最近まで継続して発表されてきた。苦難の行軍が終わるころに初めて提示された「5カ年科学技術発展計画」(第1次1998〜2002年)は現在、第4次計画が実施されており、2012年には2022年を目標とする「長期科学技術発展計画」まで発表されている(もちろん、具体的な内容はすべて公開されておらず、存在のみが継続して言及されている)。

 経済と科学技術の二つにおいて、長期的な発展計画が用意されたことから見ると、北朝鮮の状況が1980年代後半レベルにまで回復したとみることができる。1980〜90年代、社会主義圏の崩壊による混乱をある程度克服したと分析できるだろう。

 また、国家経済発展戦略とともに「段階別計画」を実現可能なもので立案せよという言及が出たことからみて、長期発展計画は「戦略」と「計画」の二重構造になったようだ。すなわち、5年程度の長期発展「戦略」が経済と科学技術から提示され、それぞれに対して段階別に「計画」が追加された形になっていると見るのが妥当だ。

 これは、1980年代後半と変わった部分ではあるが、規模や複雑さがより大きくなったことに対する対応だと言えるだろう。戦略だけを提示されたことを見て、具体的な内容に欠けているという評価もあったが、これは行きすぎた評価のようだ。

北朝鮮が夢見る未来は科学技術を通じた知識経済強国

 これほど重要になり、北朝鮮における比重が増した科学技術部門の未来ビジョンはどのような内容で提示されたのだろうか。これについては、まさに「知識経済強国」という表現だ。すなわち、政治思想部門を強調した未来ビジョンが「社会主義強国」であれば、科学技術に関する未来ビジョンがまさに「知識経済強国」となる。

 人民経済の戦略的路線が「人民経済の主体化、現代化、科学化」から「情報化」が追加された「人民経済の主体化、現代化、情報化、科学化」へ変わったことも、「知識経済強国」建設のための変化だといえる。

 平壌に科学技術殿堂を作り、地方には未来院あるいは科学技術普及質を、大学と地域拠点には電子図書館などをつくって生産現場と教育現場、地方と平壌間の情報コミュニケーションの格差をなくそうという試みは、このような脈絡から来ているといえる。

「研究人材を3倍に増やす」生産現場・教育体系まで具体的な変化を予告

 総括報告で金正恩は「経済強国建設」が現時期の総力を集中すべき「基本戦線」と述べ、「科学技術が経済強国建設で機関車の役割」をしているため、「科学技術強国」は「優先的に」占領すべき重要な目標と明確に述べた。

 すなわち、政治思想強国になったいまの時点で最も優先的に集中すべきことは科学技術だが、科学技術の発展を通じて経済発展はもちろん、軍事力強化を行うことができ、このために教育内容はもちろんシステム全般を修正していくということだ。

 このような目標が達成されれば、社会主義強国、軍事強国に続いて科学技術強国、つまり知識経済強国になれ、これが以前からの目標として打ち出した社会主義強盛国家建設という主張だ。

国防科学技術、軍需の民需転換(スピンオフ)の加速化へ

 今回の総括報告では金正恩は、北朝鮮の国防科学技術、国防工業が最上の境地にまで達したと宣言した。そしてわれわれはこのような宣言の根拠である宇宙発射体、人工衛星、大陸間弾道ミサイル、水素爆弾、潜水艦発射弾道ミサイルなどを直接目撃している。

 おそらくは、実物を見なかったならば北朝鮮の宣伝扇動と考えたかもしれないが、実際には党大会開催1〜5カ月前に実物として見ただけではなく、その評価まで下された。そのため、今は誰もこれを否認できないのが実情だ。

 大部分の科学技術は二重、三重の用途を持つ。軍事的に高い水準に到達したことは、当然、民需への活用度も高い。みすぼらしい外見に流行遅れの雰囲気の北朝鮮が持つ最先端技術は、大部分が軍需側に保有されている。したがって、北朝鮮が今後保有する軍需技術や人材、資源が民需にどれだけ早く、効率的に移転されるかによって、北朝鮮経済の今後が決定されるだろう。

 第7回党大会で提示された課題を達成できるかどうかも、ここにかかっている。今回、朴奉珠首相が党中央軍事委員会委員に選出された。軍人が民需部分に派遣され支援する形を超え、民間から軍需関連部分の指示を行うようになったという意味だと言える。北朝鮮の今後の変化は、依然とまた違う次元になるだろう。
(韓国「統一ニュース」2016年5月16日)





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最終更新日  2016年05月21日 19時54分29秒
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