キイロテントウ〜レトロポップな幸運の使者〜
樹幹で越冬していた個体(東京都 2017.3) 少しくすんだレモンイエローと乳白色のカラーリングがポップでお洒落なテントウムシ。黄色いヘルメットを被ったレトロゲームのキャラクターのような、どこか懐かしくて親しみやすい見た目をしています。 その可愛らしさに加え、よく見かけるナミテントウやナナホシテントウに比べると数も少なく、小柄で見つけにくいこともあってか、「見つけると幸せになれる黄色いテントウムシ」として密かな人気を誇っているそうです。 幸運の使者の名は伊達ではなく、実は農業や園芸をやる上では小さな救世主と言えます。 多くのテントウムシは、アブラムシなどの小さな昆虫を餌とするのですが(それだけでも人間にとっては充分ありがたいのですが)、キイロテントウはウドンコ病菌という菌を食べて生きています。このウドンコ病菌というのは、春から秋にかけて植物の葉に取り付いて光合成を妨げ、作物の収穫を減らしてしまう菌。キイロテントウは、ほかのテントウムシでは手に負えない厄介な敵を倒してくれる頼もしいヒーローなのです。 ウドンコ病菌の猛威が収まった冬、一仕事を終えたキイロテントウは、樹の幹や家屋の片隅などに止まって静かに冬越しをします。もしも身近に見かけることがあれば、来るべき闘いに備えてゆっくり休んでいってもらいましょう。