ラクダムシ〜松林に翔ぶ原始の獣〜
灯火に飛来した個体(埼玉県 絶滅危惧Ⅱ類 2018.5) ウナギイヌ、並みにヘンテコな名前の生き物。由来は長い頸と胸のシルエットがラクダに似ているからと言われていますが……うーん、分からなくもないですが、どちらかといえばジャコウネコのような細長い肉食獣のイメージがあります。 飛翔の苦手そうな独特の体型や、単純で原始的な翅脈、♀の腹端から伸びた長い産卵管が、太古の生き物のような雰囲気を醸し出しています。百科事典で石炭紀の昆虫に憧れて育った身としては、こういうフォルムにはたまらないものがあります。日本刀のような産卵管は、樹皮に卵を産み付けるのに使われます。建物の壁に止まっていた幼虫(東京都 2015.3) 幼虫は扁平な身体をしていて、樹皮の隙間ににゅるんと入り込みます。アカマツの樹がお気に入りで、ほかの小昆虫を襲って食べるようです。蛹はヘビトンボ同様、歩き回ったりもするのだとか。面白い生き物なので、一度は卵から成虫まで飼育してみたいのですが、松材線虫症によってアカマツが減少している現在、いつまでその姿をお目にかかれるのか不安でもあります。