ミスジマイマイ〜雨の森の静かなる虎〜
石垣を徘徊する個体(東京都 2017.4) 関東〜中部地方に分布する大型のカタツムリ。樹上に棲み、雨降りの夜の林でよく見る印象。樹の上で暮らすかたつむりってだけで存在がファンタジックすぎて破壊的なまでに可愛い。森の妖精さんがこの島国から絶滅していなければ、きっとよいお友達なのでしょう。樹上を徘徊する個体(千葉県 2016.7) 殻の模様には変異があり、中には俗にトラマイマイと呼ばれる、黒褐色地に黄褐色の火焔模様の入った迫力ある個体も。この子は絶対に炎属性だし、握りしめて技名叫んだら全身が炎に包まれた虎のモンスターが飛び出てくるはずです。トラマイマイと呼ばれる個体(東京都 2016.10) カタツムリに限らず貝類の魅力は軟体部(殻以外の軟らかい組織)の複雑な形態や精緻な模様にこそあると思うのですが、標本にしてしまうとその美しさまでは伝えきれないのが残念です。軟体部の複雑な模様も美しい(千葉県 2016.6) また、ミスジマイマイだけでなくカタツムリの仲間は一般に、乾燥する夏や低温の冬など生存に厳しい時期には、殻の入り口に粘膜を乾燥させた膜を張って休眠します。休眠する個体(千葉県 2016.2) このとき、膜(エピフラムと呼びます)には呼吸用の小さな穴を空けているので、通気性もばっちり。安全な殻の中で再び外界に這い出る日を待つのです。一度でいいから中で眠ってみたいものです。 おまけ ミスジマイマイのお顔。なかなか可愛くてセクシーですね。採集する機会があれば、プラスチック容器などに入れてお口を覗いてみても面白いと思います。もちろん触ったら手はしっかり洗いましょう。腹側から見た頭部(東京都 2016.8)