カテゴリ:よもやま
移住前に買い溜めした膨大な「積ん読」の中から最近なんとなく取り出した本ですが、これが意外とハマりました。
著者の方の本業はワタシの前職と同じ技術畑ですが、ご専門ではないのに見事な成果を残されたと感服します。 明智光秀の子孫である著者が、巷に「定説」として流布している「本能寺の変」の真相を独自の視点で検証したものですが、そもそもわれわれが認識している「歴史」とは、一体だれがどういう意図で「作り上げた」ものか?を知る上で、本書は絶好のテキストでしょう。 「本能寺の変」は明智光秀の信長に対する怨恨と天下を取りたい野望が背景にあり、信長の油断によって偶発的に引き起こされた云々というのが小説やドラマ・映画などで現代人に刷り込まれた「定説」です。これに対して著者が膨大な古文書を記述の真贋から書き残した目的まで踏み込んで分析し、見事にそれを「否定」しています。著者はそれを「歴史捜査」と呼んでいますが、まさにその分析の過程は「ミステリー」を読むようなワクワク感に溢れてます。 著者が独自に提示する「真実」の方も古文書を綿密に調べた上で構築した見事なものですが、いささか「行間を読み取りすぎでは?」という印象を受けます。しかしこれは「仮説検証型」という手法で、まず大筋を把握した上で仮説を設定し、前後の事実検証を重ねて論理として「辻褄が合う」ならば「こうであった可能性(蓋然性)が高い」と見做せるということです。好意的に読んでも「やや力業が過ぎるか...」という記述も散見されますが、全体的には「なるほど、そうであったかも知れんな~」とも思えてきます。 こうしたアプローチは歴史に限らず現代のニュースの真相を考える上でも非常に有効と思います。世に垂れ流されているニュースは今日も欺瞞に満ちています。本書の方法論を踏襲するまではムリにしても「鵜呑みにせずに疑問を持つ」のは習慣にしたいですね。 本書は「本能寺の変」にフォーカスしてますが、ここを起点に考えると「歴史」ってのは常に誰かが自分らの都合よく捏造・改竄・隠蔽してきたものと解釈できます。お国のエライさん方がアホのひとつ覚えのように尊敬する人物に挙げる「坂本龍馬」にしたって、死後忘れられていたのを誰かがいつからか英雄に仕立て、それを司馬遼太郎が「維新の快男児」として偶像に祀り上げてしまったものです。「尊敬する人物は龍馬」ってドヤ顔で言うのはワタシがガキの頃に「大きくなったらウルトラマンになる」と云ってたのと大差ないってことね。ま、そういうのを必ずしも否定しませんけどね。自分だって未だに「目標とする人物はインディ・ジョーンズ」ですから!(爆) にほんブログ村 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[よもやま] カテゴリの最新記事
|
|