痛勤怪談　電車の中はドラマがいっぱいだ

「運動会行く？」
「え？、、、いいけど、、」
（なんで高校生の息子の運動会に行くんだよ）
これには深い訳があった

「ビデオ充電しといてね」
「はいはい、、」
（充電ぐらい出来んのか、、）
これには深い訳があった

家から１時間かけて山の中の大学の体育館でやってる運動会に向かう
（大学生で自宅から１時間で通学できる近いもんジャン）
僕のときは２時間かかっていた
今の生活はその時から暗示されていたのか、、、

メインイベントはお昼前の三年生全員が浴衣で踊るやつ
（このときの為にみんな浴衣を買うそうです）
気合が入ってるわな

買ったばかりのデジタル一眼レフも持っていき
フィルム代がかからないので２００枚も撮っちゃった
（息子しか写ってない写真２００枚プリントしたらなんて言われるか）
１枚５０円のCDに焼きましょう


無事に撮影会も終了しお昼の後は応援合戦
息子は夏休み韓国に行ってたんでこれには参加できなかったらしい
（踊りのセンスの無いあんたじゃ無理よ）
私もディスコは苦手でした

応援団のお父さんたちは一斉にカメラを構えて撮影大会
ビデオはお父さん、カメラはお母さんと役割分けてるうちも
（気合が入ってるね）

いよいよ始まるというときに
隣のお父さんが小さく叫んだ

「あ！」
（？）

「だめだ～」
（？）

「あ～あ、、、」
（？）

「充電しといたのに、、、」
（！）

どうもビデオのバッテリーが無くなった模様
（あらら、、）

離れたところでカメラで写真を撮ってるお母さんにブロックサインを送る
伝令役の娘が飛んでくる
「どうしたの？」
「ビデオだめだ～」
「なんで」
「バッテリーが無くなっちゃった」
「え～！うそ～」
「全然だめ」
「お姉ちゃんに怒られるよー」
「・・・・・」

諦め切れないお父さんはデジカメのムービー撮影を試みたが
数秒しか撮れないので写真に切り替えた
「は～～～」
大きなため息が、、、
（わかる。わかるよ）


６月に娘の運動会があった
学校では応援合戦が目玉で今年は応援団に入っていた
前の晩から「ビデオ充電しといてね」「カメラは？」
三ヶ月間の練習の成果をカミサンは楽しみにしていた

いざ娘の出番直前、念のためにビデオの録画をチェックしたら画像が映らない
（げ！）
いろいろメニューをいじっても、たたいても、なんとも反応しない
（どうしてくれるんだ）

それからお父さんはしばらくの間冷たい視線を浴びっぱなしでした
（故障の原因はCCDの不良で修理代は無料でした）

（このお父さんも相当言われるんだろうなー）
何度も言われるぜ、きっと、、、可愛そうに、、、

同じ境遇になったものでしかわからないこの連帯感
体育館の中でもドラマが展開された

注：一昔前のニッケル水素型のバッテリーなどのニッケルを使っているバッテリーは、メモリー効果という特性があり、何度も充電を繰り返しているとだんだん充電できる容量が少なくなります。たまには完全に使い切る放電をしないと、充電したつもりが全然使えないことがあります。最近のリチウムイオン系はそういうのは無いみたい

追伸
デジタル一眼レフ、フィルム感度を１００から１６００まで変えられるんで
体育館の中でも結構撮れますね。益々手放せません

（F:4.5　シャッタースピード：1/100）