働く母の三畳の雅な間

「もういいかい」って
問いかけ続けていたいんだ　永遠に
「まぁだだよ」
って声だけ返ってくるのが　嬉しいんだ
終わらないゲームでいたいんだ
息を殺して身を潜めているよりは


さっきから携帯　無駄なメールばかり
だいたい気付きゃ夕方　重宝なアピールの謳い文句ばかりで
纏めて削除してたら大概「しまった」と滑らせる指先
もうそこにはないんだ　紛れちゃうから　保護もしないから
そんな程度だったなんて何様に電源オフしても
また繋げてる　繋げちゃうんだろう　九時には
だってさ
「もういいよ」なんて言われたくないから


「もういいかい」って
問いかけ続けていたいんだ　永遠に
「まぁだだよ」
って声だけ返ってくるのが　嬉しいんだ
終わらないゲームでいたいんだ
息を殺して身を潜めているよりは


何年勤めたって　家族構成知られん
年中行事は他人事って　プライベートなんて関係ないでしょ
愛想と言われる一歩手前の「だから？」って忍ばす表情
もう言ったってしょうがないじゃん　俺に愚痴とかなんて
眠いの腰が痛いの生理通が重いの犬が病気なの
また聞いてる　聞いてるフリする　五時には
もう勘弁
「もういいよ」なんて言いたくなるしょっちゅう

「もういいかい」って
問いかけ続けていたいんだ　永遠に
「まぁだだよ」
って声だけ返ってくるのが　嬉しいんだ
終わらないゲームでいたいんだ
息を殺して身を潜めているよりは
「もういいかい」って
返事だけ待っていたいんだ　叶うなら
「まぁだだよ」
って声だけ聞ければ大丈夫なんだ　姿は見えなくても

「もういいよ」って
探しに来るのを待ってないで
ずっと
「まぁだだよ」
って言い続けて・・・・