『グレートジャーニー』を読む
新刊書のコーナーで関野吉晴氏の『グレートジャーニー』の続編(ちくま新書)を見つけたので思わず買ってしまった。2年前に出た『グレートジャーニー「原住民」の知恵』の続編だと思って飛びついたのだが、そうではなかった。先の文庫版(光文社 知恵の森文庫)を二分冊の新書版にした姉妹編と呼ぶべきものであった。 ともあれどちらも豊富なカラー写真と含蓄に富んだ文章で大いに惹きつけられる好著であることに変わりはない。 いわゆる文明先進国、資本主義大国などと呼ばれる国の対極にある、貧しくちっぽけな国々に生きる人々の生活や考え方に、我々の本来あるべき姿を垣間見る思いがするのである。彼らは貧しいがゆえに徹底的に平等なのだ。物を貯め込むということをしない。宗教上の理由もあって、自分より貧しい者には施しをする、自分が飢えかけていてもである! 人を押しのけてでも自分が優位に立つことに憂き身をやつし、金儲けのためなら少々あくどいことでも平気でやってしまう我々の世界。ここでは富める者が人望を得、人々の崇敬も集める。貧しい者、弱い者を見下すような世界。こんな世界をおかしいと思わなくなってしまっては人間も終わりだ もう一つ、この本で再認識できること。それは、貧しい国では子供たちが実によく働くということ。その瞳はきらきらと輝き顔には生気がみなぎっている(全ての民族がそうだと言うのではないが)。数十年前の話ではなく、21世紀の同じ地球上での話だからこそ羨ましいと感じる。 物が豊か過ぎるから人間がダメになると言う人がいるが、私はそうは思いたくない。エゴイズムは人間の本性だと言うのも違う気がする。何か作為的に創られたステレオタイプの思想が、マスコミなどを通じて垂れ流されている気がする。お知らせ:明日から月末まで用事で上京しますので、更新ならびにお返事は書けませんが、よろしく。今日の画像は石清水八幡宮の長身の厄除け土鈴