|
テーマ:たわごと(26887)
カテゴリ:ただの物語
ずーっとスピ系の話が続いていて、またこれを書くのもどうかなぁと思わなくはないのですが、やっぱり先に書いた方がいいようなので書きます。
でも本当にこれはもう、本当にただの物語なのかも。 自信がまるっきりありません。 でもね、ちょっと暗いくてキツイお話なので、そういうのが苦手な人はスルーしてください。 お願いします。 でも念のため。 ですからこれはただの物語です。 さらっと流してくださいね。 ****** そこに子供は立っていた。 子供と言っても大人の自覚が芽生え始めたそんな年頃の子ども。 通常ならそろそろおしゃれをして好きな子の話をし始めるくらいの年代。 すべてに興味を抱き、被保護者でしかない自分を厭い始める時期。 でもその子供はそのころにありがちな生命力も好奇心も何も持っていなかった。 持っているのは朱に染まった一振りの剣、そして全身を朱に染めていた。 足元には両手で足りなくなりそうな数の人や天使だったもの。 そしてその子が朱に染まった原因。 だからと言ってそれに興奮することなく茫洋と視線を宙に迷わせている。 狂っているわけでもなく、茫然自失になっているわけでもなく、まるで意志というものがみうけられない状態だった。 どう見ても普通の状態ではなかった。 その状態で彼女──女の子だった──は取り押さえようとしたものたちを何の迷いもなく切り捨てた。 まるでそれは戦慄とも滑稽ともいえるシーンだった。 そしていままた茫洋とした状態で彼女は立っている。 この境界の世界で。 そんな中、一見無造作に、でも慎重に間合いを取りながら近づいていった。 一歩気を抜けば斬られかねない。 実際今までのものたちは彼女の剣の届く範囲に入った途端、何の前振りもなく切られているのだ。 そこには躊躇も気負いもなく、ただ単に条件反射的に動いているように見えた。 もう一歩で彼女の剣の届く範囲に入るところで、彼女はぼんやりとこちらを見た。 瞳に焦点が戻り、こちらを認識した。 次の瞬間、花のような心からの満開の笑顔が彼女からこぼれた。 『先生~』 その声が聞こえた気がした。 けして優秀な生徒ではなかった。 みんなから取り残されないようにいつも一生懸命だった。 ようやく出来た技に合格点を与え努力を褒めると、いつもその心から嬉しそうな笑顔を見せてくれた。 目の前に立っても彼女は剣を振りまわさなかった。 ただずっとその笑顔でいた。 「よく、頑張ったね」 そう声をかけて彼女をハグする。 剣は彼を襲わなかった。 彼女は幸せそうにされるがままになっていた。 「助けに来たよ、もう大丈夫だよ」 そう言って手首に装備された短剣を握る。 そして彼女の背中に突き刺した。 体から力が抜けてぐったりとする。 同時に彼女の綺麗な紅玉のような魂が目の前に飛び出した。 途端に四方八方から黒い靄のようなものがその魂の襲いかかる。 左手で彼女の魂をかばい、右手で剣を使ってその靄を払いのける。 しかしその靄は一向に引く気はないようだった。 極上の魂を引き入れようと必死になっているようだった。 「しつこいっ!!」 怒りにまかせて怒鳴ると無意識に浄化の炎が吹き出し、あたりの黒い靄を焼き尽くした。 あたりに静寂が戻る。 彼女の体も他の体もついでに焼き尽くされてなくなっていた。 「おみごと、エル・フィン。さすが…」 ふいに背後から聞こえた声に最後まで言わせずに静かに睨みつける。 「何の用ですか?ミカエルとあろうものがこんなとこまでくるなんて」 ミカエルはちょっと肩をすくめたようだった。 実際この姿は分身のようなものだと言うのはすぐに分かった。 本人がこんな境界の世界に来るとは思えない。 「とりあえず回収した魂の引き取りに」 言われてかばった彼女の魂をミカエルに引き渡す。 「ふうん。こんなところに居た割には損傷が少ない。これならしばらく休んだら回復するだろう」 その言葉にほっとする。 さらにいくつかの魂をミカエルに預ける。 しかしそのうちのいくつかはやはり取り返しがつかないようだった。 「交代させようか?」 言われて一瞬何のことか分からず見返す。 「精神的にきついだろ?無理することはない」 その言葉に気遣いを感じ、ほほ笑んだ。 「自分でやったことの結果ですから、他人に任せる方が落ち着かないです」 そう言ってミカエルに背を向けて歩きだした。 ****** えーとね、本当にこれは背後その他諸々不明です。 何でミカエルさんが出てくるかもよくわかっていません。 これを「ただの物語」に入れるのもどーかなーと思わなくもなかったです。 でも書いた方がいいんだろうなぁと思って書きました。 受け取り方はご自由に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ただの物語] カテゴリの最新記事
|