|
カテゴリ:読書
銀色夏生の新刊『やさしい春を想う』が、幻冬舎文庫から発売されました。これは、銀ちゃんの本には珍しく、「ミルココ物語」と「詩集」の2本立てとなっています。
やさしい春を想う 前半は、可愛い二人の少女、色白の<ミルク=ミル>と色黒の<ココア=ココ>が主人公の『ミルココ物語』。この<ミルココ>コンビの日常が、ほのぼのとしたタッチで描かれています。で、<ミル>のモデルは、<かんちゃん>の小さい頃がモデルじゃないかなぁ~と、思うんですよ。ちょっとクールなお母さん<ケチママ>との会話も、『つれづれノート』の頃の<かんちゃん>と<銀ちゃん>との会話みたいだし、<ミル>に小さい弟がいるのも<さくぼう>みたいだし。 そして、一番<かんちゃん>っぽいなって思ったストーリーは、18ページの『ミルのこころ』。大好物のホットケーキを食べながらマンガを読んで、幸せ気分にひたっている<ミル>。その時、つっと動かした手がコップに当たってジュースがマンガの上に大量にこぼれてしまいます。 「宝物のマンガは、濡れてシワシワ。ママとおとうとも、事態の重要さがわかるだけに、声をかけられず沈黙している。悔やむが、自分でやったのだから仕方ない。だれにもあたれず、泣き暮れるミルだった。」 この泣いている<ミル>とそれをドアの陰から覗いているお母さんと弟の挿絵が、なんとも『つれづれ』を彷彿とさせるんですよ。もちろん、同じシーンは『つれづれ』にはありませんが、雰囲気がね。 カラーの挿絵がとっても綺麗で、まるで絵本のような『ミルココ物語』。続編を期待したいところです。絵本として、単独で出版してくれないかなぁ~ 『詩集』は、凝った挿絵が使われています。「糸のぼく」と「糸のわたし」には、かわいい刺繍の男の子と女の子が。たぶん、銀ちゃんが刺繍をしたのでしょうね。62ページから65ページでは、文字を使って絵を描いた遊び心いっぱいの挿絵もあります。そうそう、「シロとチョロ」っていう詩では、あのチワワの兄弟の絵と写真が使われていますよ そして、注目は版画。今回は<私の版画の世界>と題して、詩集の後半では、さまざまな版画が挿絵として使われています。イラストとはまた違った雰囲気が楽しめますが、その数、24枚 『つれづれ』では、石鹸作り・タイルアート・藤細工など、色々なものに熱中する銀ちゃんの様子が書かれていましたが、今回は版画に熱中しているようですね。ちなみに、表紙の絵は「ひるね」という詩に使われている版画です。 本のタイトルになっている「やさしい春を想う」という詩は、最後に載っているのですが、これには挿絵がありません。この詩には、印象的なフレーズがいくつか出てくるんですよ。 『ここでは夢がなくても/いいんだね』 『もう追いかけなくても/いいんだから』 『もう休んでも/いいんだから』 『ここでは愛さなくても/いいんだね』 『しばらくの間/休んでも/いいんだから』 そして、連の最後は 『もう無理して 笑わなくても/いいんだろう』 この言葉で終わっています。最初は、銀ちゃん自身のことをうたっているのかな?とも思ったのですが、今という難しい時代を生きなくてはならない、子供達に向けての詩のような気がしてきました。「無理をする必要はないんだよ。肩の力をぬいてごらん。」っていう銀ちゃんからのメッセージではないのかな。そういえば、昨年の11月に発売された詩集『やがて今も忘れ去られる』に「生きるということ」という詩があって、これも今の子供達に向けて書かれた詩のような気がしています。 やがて今も忘れ去られる 『やさしい春を想う』は、物語派も詩集派も満足すると思います。暖かな春の陽射しの中で読むには、ピッタリの一冊です お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
僕は今日、4回目を読み終わりました。
なんか、読めば読むほど味が出るという感じで、ぜんぜん飽きずに4回を読み終わりました。 物語りも楽しいし、詩自体もいいのですが、うささんがお書きのように「つれづれ」を思い描いたり、詩の中身についても他の作品に思い当たったりと。。。。。 「つれづれ」は終わったけど、夏生さんは今を生きているんだなぁと当たり前のことながら実感できるのです。 「ミル」は、かんちゃんですよねぇ。。。。 見るの弟は絶対サクちゃん! お父さんが出てこないし、ケチママの姿も夏生さん(笑)鹿を見て喜んだミルちゃんに、増えすぎて鉄砲で撃たれるんだよと話しをするケチママは夏生さんです。 最後の詩については、熟考中(笑) あと。。。 48,49ぺじにあるプエルトリコ。。。。 南米(キューバの近く)ですよね? 南米といえば思い出しませんか? たしか。。。。「タトゥーへの旅」の中でエイジ君との会話で友人のカネミツ?が南米に行ったとあったような?明日にでも調べたいと思います。(これは薄ら覚えなので。。。ハハハ) (April 23, 2007 05:43:42 PM)
上に書いたプエルトリコのこと。。。「タトゥーへの旅」にありました。
でもプエルトリコのことは書いていませんでしたが、女性が中米に行くとしたらアメリカ領のプエルトリコが気楽にいけるかな? (April 23, 2007 10:41:23 PM)
夕螺さん、こんにちは。
さっそく、お越しいただきましてありがとうございます(^O^)/ 今回の本は、何度でも読み返したくなりますよね。コラボ本が低調(?)だっただけに、うれしいです。 で、やっぱりミルは、どう見てもかんちゃんですよねぇ~。挿絵の髪型も、どことなくかんちゃんのような雰囲気がありますよね。クールなケチママの性格も正に銀ちゃんそのもの。鹿の場面でのあの言い方もさもありなん!って感じだし。それにしても、<ケチママ>っていうネーミングがGood! 「タトゥーへの旅」、調べていただいてありがとうございます。プレルトリコといえば、カリブ海に浮かぶリゾート地になるんでしょうか。なんだか、遠い土地というイメージがあります。 「プエルトリコの学習帳」の挿絵は、日本の学習帳とは違って、南国ムードが一杯でしたね。暑い日差しの中で、トロピカルドリンクを飲みながら宿題をしているんだろうな(^-^) (April 24, 2007 11:00:04 AM) |