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テーマ:DVD映画鑑賞(13981)
カテゴリ:ドラマ
「ハゲタカ」
2007年 NHK 主演: 大森南朋・柴田恭兵 出演: 栗山千明 中尾 彬 松田龍平 他 外資ファンドの日本支社長として乗り込んできた男、鷲津政彦(大森)と、 日本の銀行マンとして企業を支える役割を担ってきた男、芝野健夫(柴田)。 二人は日本企業再生のやりかたで何度も対決することになる。鷲津は外資の手先として、冷徹に金儲けだけを考えているような男に見えたが、実はそうではなく、そこには会社とそこに息づく人々の再生を願う、人情味があった。昔上司と部下だったことのある二人には、今でも共通の思いがあったのだ。そして最後には、二人は共同で外資ファンドによる企業の切り売りに対抗して、従業員解雇や海外への技術流失から守ることになる。 見ごたえある内容でした。 ドラマは全6回、3つの挿話と、そのベースにある数年前に起きた、鷲津と芝野が関わった事件からなっている。 鷲津が外資ファンドのトップとして日本に乗り込んできたのが1998年、5年ぶりの帰国である。5年前、鷲津と芝野は、三葉銀行で上司と部下の関係であり、鷲津が担当していた町工場の三島が倒産に追い込まれる。不良債権処理を優先していた三葉銀行が貸し渋りをしたためだった。鷲津は人情味豊かで、三島の親父さんとは懇意にしていたが、一行員ではなすすべもなく、三島の親父さんは自殺した。傷心の思いで渡米した鷲津は、ファンド・マネージャーとしての実績を携え、冷徹な別人のようになって日本企業の買い叩きのために乗り込んできた。 三葉銀行の不良債権をただ同然で買い叩き、元上司の芝野と対決することになる。 1つめの挿話は、老舗旅館「西乃屋」 三葉銀行がバブル期に融資して手をひろげたゴルフ場などが、不採算となり、本業もうまくいかず、莫大な負債をかかえていた。 鷲津はただ同然で「西乃屋」の債権を手に入れ、同業者の旅館経営者に叩き売る。 旅館を経営していた親父は失意のうちに事故死。息子がひとり残される。 2つめの挿話は、老舗玩具メーカー「サンデートイズ」 メインバンクとして三葉銀行からサンデー社に乗り込んだ芝野は、何とかして会社を再建させようと奔走するが、昔からの銀行と融資先の腐れ縁があり、銀行トップからの抵抗もあり、大胆な経営改革は容易ではない。 外資系ファンドのほうは、そこはしがらみはないから、なんでもしかけられる立場だ。 しかし、芝野は取締役会で社長解任を成功させ、鷲津のもくろみを出し抜く。ファンド:鷲津と銀行側:芝野の間で入札によるバトルが繰り広げられる中、芝野が銀行側からの企業再生に限界を感じ、「サンデートイズ」新社長の不正に、三葉銀行も関わっていた件を認め、入札を降り、銀行をも辞めてしまう。 3つめの挿話は、サンデートイズの件から数年後の「大空電機」 創業者である現会長の大木昇三郎(菅原文太)は戦後日本の高度成長をささえたカリスマ経営者であるが、その経営手法にしばられ、改革ができず、現在巨額の赤字体質になっている。現社長の塚本(大杉漣)は、フリーの企業再生家として実績を積んできた芝野に再建を任せる。芝野はフェニックス計画なる再建案を大木会長に提出する。 大木は、 「会社は人で成り立っている。一朝一夕でできるものではない。首切りは最後の最後の手段だ。」 といいはって、計画は何度も手直しされた後、了承される。 一方、本社から買収を命じられた鷲津は、筆頭株主となり、不採算部門の売却を含む大幅なリストラ計画で対抗しようとしたが、株主総会での決戦は、大木会長の死の床からのメッセージによって芝野率いる現経営陣のフェニックス計画が承認され、鷲津は退けられる。 鷲津は、経営権を奪って独自の再建計画を実行するため、すぐさまTOBをしかける。 ところが不採算部門の子会社に、昔自分が倒産させた後、大木会長に助けられて再建された三島の工場があるのに気づき動揺する。自分の再建案では真っ先に切り捨てることになるからだ。 結局鷲津は、NYのファンド本社には内密に、大空電機の経営陣一新後、各部門を切り売りせずに再建をめざすため、中国系電機大手との提携話を進める。しかしそれはNY本社の知るところとなり、もともと米国軍事産業への大空電機のカメラレンズ部門の売り飛ばしをもくろんでいたファンド(ホライズン)本社は、本社への裏切り行為として、鷲津を解任、解雇する。 その後、ホワイトナイトとして登場したIT系ファンドが塚本社長と組んでホライズンのTOBに対抗し、現経営体制を守ったものの、IT系ファンドのインサイダー取引きが発覚して大空電機株が大暴落、結局ホライズンが株を買いあさり、経営権を握る。 鷲津は、ゼロからの出発で鷲津ファンドを起し、カメラレンズ部門の売り飛ばしに対抗しようとする。大空電機でホライズンの指示に従って従業員のリストラ対応にあたっていた芝野と鷲津は協力し、ホライズン側に気づかれないように、レンズ部門の従業員が自ら会社を買収するEBO(エンプロイー・バイアウト)を仕掛ける。その中には、かつて二人が倒産に追いやった三島の母娘の姿もあった。 EBOを成功させた鷲津は、レンズ部門を新会社とし、芝野を新社長として、再生への道を再出発させ、三島の再倒産をも救った。 「親父さん、私がその後どう生きてきたか、これでやっとあなたに報告できます。」 鷲津は、三島の親父さんの霊前に初めて手をあわせた。 さすがにNHKだけあって、シリアスな内容ですね。日本の銀行が、過去からのしがらみ、というか一蓮托生、持ちつ持たれつ、というところもあり、なかなか不良債権処理が進まない。取引先に問題があっても大胆な経営改革を指導できない。 そういう事情も描かれてましたし、しかし何とかその中でもベストを方法を探ろうとする行員の姿も、なるほどと思いました。 人情と利益、長期的視点に立った人材育成を含む展望と、目先の利益確保 どちらも大切で、老舗と言われるところが伝統に縛られて、赤字体質を改善できないのであれば、やはり多少の痛手を伴う経営の変更はやらないとだめでしょう。それを大胆にできたのが外資系で、日本の銀行などはどうしても無理だったということでしょうか。 最後はEOB(従業員による買収)でハッピーエンドにもって行きました。 このドラマを企画した意図もここにあったのでしょうか。 つまり、 「自分の会社・自分の職場は自分で守れ!」 ということ。 自分が出資していると思えば、当然一従業員でも経営的視点に立って物事を考え、仕事もするでしょうし、自ずと業績もあがるでしょう。 企業まかせにしているプロ野球より、地域密着、サポーターが出資もしている浦和レッズなどのようなサッカーJリーグのほうが盛り上がっているのもそういう事情があると思います。 それにしても、二人は最後には同じ思いで投合できてすっきりしました。ハッピーエンドなので、もっと明るくてもよかったのでは。たとえば鷲津さんが、三島の娘 由香(栗山千明)と結婚するとか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 10, 2007 12:38:45 AM
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