光原百合著 『最後の願い』
☆新しく劇団を作ろうとしている度会恭平。納得するメンバーを集めるため、日々人材を探し回る。その過程で出遭う謎。日常に潜む謎の奥にある人間ドラマを、優しい眼で描く青春ミステリー。☆いわゆる安楽椅子探偵ものであるが、劇団員が「探偵役」という形は初めてでおもしろかった。日常生活にまぎれてしまうような出来事でも、何か腑に落ちないことが残っているとき。あるいは、あれはいったい何だったのだろう、といつまでも心に引っかかる出来事。そこに自分が思い込んでいたのとは違う真相が隠されていたら? 謎解きをしつつ、有能な劇団員を集めていく度会。彼の力でこの劇団Φにはユニークな人たちが集まってくる。彼らのお芝居を見てみたいものだ。