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2005年12月16日
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   思うのは例えばこんな時。

   クラスメートの女の子がくれたアーモンドタフィーを手の中で転がし

   ながら、彼は鉄壁の笑みを作る。

   そしてそのセロハンの包みを広げて「ありがとう、これ、好きなん

   だ」と言った言葉の通り嬉しそうに口に放り込み、味わう。

   確かこの前。

   『こんな甘いだけのもの』

   嫌いだ、と言ってなかっただろうか?

   こう聞けば彼はきっと、

   「君たちが好きなものは何でも僕は好きだよ。」

   こう言うだろう。何の衒いもなく。

   気がなさそうに笑って。

   これは私たちが私たちにとっての都合のいい夢を彼におしつけた結

   果。

   私たちは皆、海のような容量を入れてくれるありもしない受け皿を

   欲しがったのだ。

   どんな醜さでも受け入れてくれる、都合のいいキリスト《許し》を。

   鬱屈して何も無い日常を虚仮にしながらも甘ったれて、何時でもどん

   な時でも優しい愛に溢れた居場所を。

   《それはどこにも得られないものだから》

   彼は私たちの理想の被害者。

   私たちは彼に有象無象の理想像を求めたのだ。

   カリスマは自らが知らない内にカリスマになったのだ。

   生贄として。

   彼はそれを笑って受け入れた。

   賛美する口調でもって。

   彼は私たちが尽くし上げた歪んだ“理想”の《ハコ》に

   自分を注ぎ入れ、ゆっくりと緩慢に腐敗して朽ちていこうと

   している。

   


   だけど、本当は皆、こんなことを望んでいた訳じゃないんだよ


   だから、ねぇ、笑って?


   ・・・・・・・・・・・・・・。


   彼は、笑った。


           

          もう、手遅れだよ。











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最終更新日  2005年12月16日 18時42分02秒
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