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235 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:34:30.14 ID:PXIweYU+0
( ,,゚Д゚)『いいか、内藤。悪い事は言わん。包丁は和包丁に限るんだ』 自慢の包丁を取り出したのはギコさん。 まるで日本刀のような形状をしている。 ( ,,゚Д゚)『これは柳葉包丁といってな。見ろ。柳の葉のようだろ?』 そう言いながらメモにペンを走らせる。 _______ ∠_______ 和包丁 _______ <_______ 洋包丁・中華包丁 ( ,,゚Д゚)『和包丁の最大の特徴はこの研ぎ方にある。 洋包丁や中華包丁は両刃だが、和包丁だけは図の通り片刃。つまり日本刀と同じなんだ 重さや力に任せて叩き切る事を念頭においた西洋や中華の文化と違い、 日本ではただ切る事だけを考えて刃物を作りあげてきた。 常に鋭角を保つ和包丁こそ【切る】事に関しては最高の1本。 この柳葉包丁と野菜を切る専用の菜切り包丁、硬い物を切る出刃包丁。 これを揃えるのが料理人の嗜みってもんだ』 (*゚ー゚)『…凄いねギコ君☆』 ξ゚△゚)ξ『自慢の【菊一文字】でしょ…もう何百回も自慢されたから聞き慣れちゃったわ ミニにタコ…じゃなくて耳にタコよ』 あたしはつまらなそうに…実際つまらなかったけど…ストローを啜った。 236 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:37:04.35 ID:PXIweYU+0 ('A`)『ちょっと待った』 止まりそうにない勢いのギコさんに口を挟んだのはドクオだ。 ('A`)『内藤は中華の料理人になるんだろ? だったら中華包丁が最適じゃね?』 取り出したのは柄の部分まで銀色に輝くドクオの愛刀。 ('A`)『こいつは【藤次郎】ってんだ』 ( ;^ω^)『覚えてるお。それにはちょっと微妙な思い出がwww』 それはあの内藤が落として刃こぼれさせてしまった包丁。 ドクオの執念が実って今でも無事現役で頑張っている。 ( ;^ω^)『中華包丁って重くて使いづらいイメージがどうしても抜けないお』 (*゚∀゚)『ブーちゃん、それは君の使い方が悪いのさっ!!』 そう言ってお姉ちゃんはドクオと同じく全体がステンレス製の中華包丁を取り出す。 (*゚∀゚)『中華包丁はね。それ自体の重さを使って切るんだよ!! あたしはドッ君と比べて一回り小さいサイズのだけど、 余計な力を使わないから慣れちゃえばこんなに使いやすい包丁はないよ!! おまけに全身ステンレスだから錆びないし、落としたりしない限り刃こぼれもしない!! しかもこれ1本で切る・潰す・すり身にする…全部出来ちゃうんだ!! 中国四千年が産んだ最高の一品だよ!!飲む・打つ・買うの三拍子揃った男みたいで最高だろ!?』 お姉ちゃん…それ日本語の使い方間違ってるわ。 ゆとり精神全開みたいで恥ずかしいから止めて。 237 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:39:14.44 ID:PXIweYU+0 (´・ω・`)『ツーの意見は8割がた賛成だけど、2つばかり訂正したいね』 次に口を挟んできたのはショボンさん。 手には黒光りする中華包丁を持っている。 それにしてもこの人が黒光りする物を手にしてるとなんとなく卑猥なのは何でかしら。 (´・ω・`)『こいつが僕の包丁【杉本】だ。 中華包丁は【杉本】に限る。 何故かと言うと日本国内の中華包丁のシェアの大半を占めているメーカーだからだ。 それほど中華に料理人に信頼されているブランドなんだよ』 どこで調べてきたのよ、そんなの。 目の前ではしぃが目を輝かせてみんなの会話に聞き入っている。 若いって羨ましいわ。 (´・ω・`)『それともう1つ。 やっぱり料理人なら包丁は鋼にするべきだ。 確かにすぐ刃こぼれはするし、錆びやすいし、毎日の手入れが欠かせない面倒な代物だ。 その代わり研ぎやすいし、なによりも切れ味が素晴らしい。こればっかりはステンレスでは到底真似出来ない。 包丁=切る道具である限り、切れ味にこだわるべきだよ』 それを聞いたギコさんが満足げに頷いている。 ( ,,゚Д゚)『分かったか? 男は黙って鋼にするべきだ。 一度鋼に慣れちまうとステンレスなんて使ってられねぇぞゴルァ』 240 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:43:47.06 ID:PXIweYU+0 その言葉に大笑いで返したのは変態…もといジョルジュさんだ。 ( ゚∀゚)『バカだな、お前ら。 いいか、内藤。人間手に馴染んだ物が一番なんだ。 和包丁や中華包丁なんて普段つかわねぇだろ!? だったら洋包丁にしろって。 牛刀だったら肉・魚・野菜なんでも切れるぜ。 あと、時代はステンレスなんだよ!! 切れ味で劣る!? バカ言っちゃいけねぇぜwww 総合的にステンレスのほうが使い勝手がいいからこれだけ広まってるんだからよ』 そう言いながら小型のアタッシュケースを開ける。 中身は何種類ものナイフが壁面に縛り付けられたいた。 ( ゚∀゚)『牛刀は当然として…小刀も揃えておくと便利だぜ。 俺のお薦めは【ドライザック】だ。 ぺティナイフは勿論、ペアリングナイフとフルーティングナイフは細かい作業に重宝するぜ。 あとは彫刻刀があれば完璧よ』 244 名前:さるでした ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:56:03.40 ID:PXIweYU+0 自分の意見を全く無視して騒ぐ外野に内藤は本気で困っているようだった。 あちらを立てればこちらが立たず…って感じかしらね。 自分の事なんだから好きにすればいいのに…ってそれが出来ないから内藤なのかも知れない。 あたしは席を立って内藤の隣に移動する。 ξ゚△゚)ξ『で、少しは参考になったのかしら?』 ( ^ω^)『全然だおwww頭が爆発してアフロになりそうだおwww ツンの意見も聞きたいお』 そうねぇ…。 あたしはあごに指をかけ2~3秒考える。 ξ゚△゚)ξ『まぁ、どんな包丁を買うかはあんたの好みなんだろうけどさ。 材質はステンレスね。物臭なあんたにはお似合いじゃないの?』 あたしがそう答えると、 川 ゚ -゚)『ふむ。ツンはその意見か。私なら内藤には鋼が向いていると思うがな』 今まで沈黙を守ってきたクーさんが口を開いた。 246 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:59:37.15 ID:PXIweYU+0 内藤そっちのけで議論を続けるみんなをよそにクーさんは言葉を続ける。 なんでジョルジュさんは上半身裸なんだろう。 ワケがわからない。 川 ゚ -゚)『私は職業柄フルーツナイフしか使わん。 だが、鋼の包丁が扱いづらい代物だと言うのは皆の話を聞いてよく分かった』 ( ^ω^)『だったら尚更…』 川 ゚ -゚)『まぁ、聞きたまえ。 鋼の包丁と言うのは毎日手入れして、それでやっと最高の切れ味を見せるのだろう? それは言い換えれば、最高の仕事をする瞬間の為に日々自身を磨き上げると言う事。 その姿が今の君にそっくりだと思うのだ。 それを意識して内藤が自身の包丁を手にすれば、今以上に仕事に張り合いを持てるのではないか?』 ( *^ω^)『クーさん…なんか今の言葉ジーンと来ましたお』 またもや2人の世界に入り込む内藤とクーさん。 あたしはすっかり蚊帳の外。 なによ!! あんたからあたしに意見求めてきたくせに、面白くないわね!! ξ#゚△゚)ξ『話は終わったみたいね。じゃ、あたし帰るわ』 あたしはカウンターを離れようとする。 それを見た内藤も慌てて席を立つ。それがいつもの風景。 川 ゚ -゚)『待て内藤。わたしの話はまだ終わっていないぞ』 でも今日はいつもと同じにはならなかった。 247 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 02:01:51.19 ID:PXIweYU+0 川 ゚ -゚)『内藤。いつも思うのだが、何故君が一方的に殴られたり追いかけたりしなくてはならんのだ? わたしにはそれが理解できない』 ( ^ω^)『え…だってツンは友達だし』 川 ゚ -゚)『友達…か』 クーさんがあたしとチラと見る。 川 ゚ -゚)『君たちが特別な関係でないのであればわたしとの会話を中断する事もあるまい。 第一、今君は自分の包丁を選ぶと言う君にとって非常に大切な話をしていた筈だ。 君が今の関係に甘んじる事でどのような結果に繋がるのか。私は疑問に思う』 ξ゚△゚)ξ『……』 川 ゚ -゚)『わたしなら君を自分の考えだけで引きづり回したりしない。 むしろ君の人生をサポートできると思う。 この業界の上司として。人生の先輩として。そしてむろん女として』 それは大切な告白。 それは宣戦布告。 クーさんは今度はしっかりとあたしを見据え、内藤に視線を移した。 川 ゚ -゚)『内藤。君が本当に料理人として生きて行きたいのなら…』 あたしを取り巻く周囲の喧騒が遠く離れていく。 そしてクーさんの言葉だけが何度も頭の中に鳴り響いた。 川 ゚ -゚)『わたしは君の道標(みちしるべ)になりたい』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 29, 2007 03:46:20 PM
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