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カテゴリ:日常をめぐる冒険
この本に掲載されている「身の上相談」は大正三年(1914)から 十一年(1922)までの読売新聞から抜粋されたものだということ だけれど、つくづく、 人の悩むことはいつの時代もそんなに変わらないのか? という思いがする。 もちろん『親の決めた縁談』なんていう問題に頭を悩ませている 手合いはもはや身近にはいないけれど、恋愛、進路、転職、結婚、 更には人生の意義、宇宙の真理、というようなものに至るまで、 人間の悩みはとめどもなく果てしない。 大いに悩むべし。 とはいえ、身の上相談に答えているこの『記者』の冷静、炯眼、潔さ にはしたたかに眼を洗われる心地もする。 祝祭男も近々転職しようなんてことを目論んでいる。 いつだったか数学者のおっちゃんが 「人生は少しずつ色んなものに片が付いていくんだよ」 と教えてくれたけれど、 傍目には何も変わっていないようでいて、 内面では色んなことが新しく組み替えられたり分解したり、 組成を繰り返しているみたいだ。 そう言う意味で、何かが何らかの意味で片付いたのかも知れん… 当時、新聞に投書をした人達で、いまも健在の方もおられるだろうと 思うけれど、『100年後の世界』はどんな風だろう? そういえばこの夏は『ローマ人の物語』を読んで、 カエサルの遠征、歴戦に触れるたびに、 額に涼しい風が吹き渡っていくような気がしたんだった。 聖徳太子よりもはるか彼方の人間たち。 大正の人々の悩み事を読んでいると、 ゴチャゴチャとした彼らのお喋りや、ザワザワとした 足音が身近に聞こえる気がする。 古い、ちょっとした古い小説を読みたくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 1, 2005 02:05:50 AM
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