▼・・・あしたばの選択・・・?。・・▼
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○新約聖書の中に、パウロが書いたとても短い手紙があります。それは、「ピレモンへの手紙」です。この手紙は、パウロが福音のためにローマで獄中にあった時に、コロサイ集会の信者であったピレモンに宛てて書かれたものです。その背景を少し考えますと、ピレモンの奴隷であったオネシモは、主人(ピレモン)の物を盗んで逃亡し、ローマにまで行ったのです。彼は、恐らく大都会の雑踏に紛れ込めば容易に捕まらないだろうと考えたのではないでしょうか。そうするうちに、どういう事情か分かりませんが、オネシモは獄中のパウロに出会い、キリストの福音(良き訪れ)を聞いて、回心したのであります。
そして、オネシモはクリスチャンになってからしばらくの間、パウロに仕えていたようです。彼が救われてからすぐにパウロに仕えるようになったことは彼の回心(悔い改め)が本物であったことをよく表しています。当時の習慣によれば、奴隷はあくまでも主人の所有物であったので、パウロは機会を見て、彼を主人であるピレモンのもとに帰そうと考えていたのではないかと思われます。しかし、主人の物を盗んで逃亡した奴隷は殺されるのが常であったのです。そこで、パウロはピレモンに、オネシモを今までのように奴隷としてではなく、主にある兄弟として赦して受け入れてくれるように頼むのです。そのために書かれたのが、この「ピレモンへの手紙」であります。一介の奴隷に過ぎない者のために心を砕き、愛の労苦を惜しまないパウロの姿の中に”キリストの愛”を彷彿とさせるものがあります。
オネシモが与えた損害は自分が代わって負担すると申し出ることで、主人と奴隷が和解することをパウロは願ったのです。この手紙は、パウロが書いた手紙の中で最も個人的なものであり、オネシモという一人の奴隷のためにピレモンに懇願するという愛に満ちた執り成しの手紙なのであります。この手紙を通して、当時の奴隷制度の一面と、それに対するキリスト者の態度をも知ることができます。パウロは奴隷制度それ自体には反対していませんが(勿論、聖書は奴隷制度を肯定しているのでもありません)、主人も奴隷も主にある兄弟として交わることにより、実質的には奴隷制度が改善されることを願っているのであります。
「オネシモ」とは、「役に立つ者」という意味です。事実、彼は以前は役に立たない者でしたが、今はキリストを信じて救われ、神のために役に立つ者とされました。私たち人間も、神の前には役に立つ者として創造されたのですが「すべての人が迷い出て、みな、ともに無益な者となった。」(ローマ人への手紙3:12)とある通り、神から離れ、役に立たない者となってしまいました。私たちは全く無益な者であり、神の前には何の役にも立たない罪人でありますが、キリストを信じて救われる時に、初めて役に立つ者(有益な者)となることができるのであります。したがって、クリスチャンは、今、神のあわれみによって、役に立つ者とされたのです。
この聖句は、オネシモが逃亡した背後には、神の摂理があったことを示唆しています。人の目から見ると、自分で勝手に主人であるピレモンから逃亡したように見えますが、神の側から見ると、また別な見方があるのです。そのように、一切の出来事の背後に愛なる神の許しと摂理があることを認める時に、人生の見方が全く変わってしまうということがあるのです。パウロは、すべての出来事の背後に神の摂理があることを認めて信仰によって生きた人であります。「人が失望(disappointment)する時は、神の計画(appointment)の時である。」ということばがありますが、事実、その通りであります。
この世では、クリスチャンであっても人はみな社会的身分があったり、職業も違い、人種や肌の色も違います。また、社会的な差別があったりします。しかし、それは、この世だけのことです。天国では、もうそのような区別も差別もありません。永遠に主に在って兄弟なのです。ルカ伝15章に有名な放蕩息子の例え話がありますが、あの弟息子も父親から逃亡し、しばらくの間父親から離れていました。しかし、その背後にもやはり神様の許しと摂理があったのです。それは、父親が弟息子を永久に取り戻すためであったのであります。私たちもまた、同様に、長い間神様から逃亡し、神様に背を向け、罪の生活を続けていましたが、その背後にも同様に、神の暖かい摂理のあったことを認めることができます。
・・・・・hope to see you again・・・・・
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