『昨日がなければ明日もない』 宮部 みゆき 、文芸春秋、初版2018年11月30日
本書は宮部みゆきの作品集で、杉村シリーズ第五弾になる。
「絶対零度」
杉村探偵事務所に、筥崎静子と名乗る女性が来た。嫁に出した娘・優美が手首を切って自殺未遂をした。現在、メンタルクリニックに入院している。自殺未遂の理由はわからない。原因はお母さんにある、と娘の夫は言って、娘に合わせてくれない。何とかしてほしいという依頼だった。
杉村は、優美の居場所の特定と身辺調査から始めることにした。
ストーリーの特徴は、調査にインターネットが使われていることだ。関係者のツイッターやブログなどから人物の住所などの情報を得る場面が多い。
「華燭」
杉村は竹中松子の依頼で、彼女の友人の娘の結婚式に出ることになった。ところが、式の開始時間が過ぎたのに始まらない。いろいろ聞き込みをしてみると、新郎の恋人が怒鳴りこんできたという。二股かけていたのだ。
さらに、同じホテルで、もう一組の結婚式も中止になっていた。21歳の花嫁が62歳の相手と結婚するのは嫌だと言って逃げたのだ。
同じ日の同じ時刻、同じフロアーで、花嫁が逃げて破談になる。これは偶然ではない。杉村の推理が冴えわたる。
「昨日がなければ明日もない」
朽田美姫と娘の漣が杉村探偵事務所に来た。息子で漣の弟の竜聖は静岡の親戚に預けている。彼が交通事故に遭い、入院している。これは事故ではない、竜聖を狙った殺人未遂だ、と訴えた。殺人の証拠を探ってくれ、というのだ。美姫と漣は素行が悪く、まわりから嫌われていた。
杉村は、交通事故と竜聖が置かれている環境などについて、調査することで話がついた。
杉村の調査で間違いなく交通事故で殺人未遂でないことが証明された。これで、一件落着かに見えた。
ところが、美姫が行方不明になった。
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