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自分が“楽しみ代”を払っている限りはもうかることはない
(引用はじめ) 赤松 赤松理論には「楽しみ代」という概念があるんです。自分が描いてて楽しいと、自分が楽しみ代を払ってることになるからもうからないんです。編集者や読者を楽しませようと思って描くと、楽しみ代が自分に入ってくるんですよ。自分が楽しんでいたら、自分が楽しみ代を払うから、ほかの人は楽しみにくいし、デビュー確率も下がる。 楽しみ代がいっぱいかかるジャンルは、描いてて楽しいからみんな来て、執筆人口がとても増えるんです。すると原稿料も安くなってもうからない。だから楽しみ代が掛かるものにはなるべく手を出しちゃいけない。趣味のオリジナル同人誌はすごく楽しいんですけど、同時に楽しみ代もすごく高いはずです。逆に商業誌はいろいろな人を楽しませないといけないから、自分が楽しんでる暇は少なくなる。その分楽しみ代が入ってくる可能性は高い。 (引用おわり) 耳が痛いですねー。 私は、自分が書いて楽しい小説を書きたいと思っています。 だから私ってもうからないんですねー。くすん。 でも、楽しくない仕事してたときのほうが、もっともっと儲からなかったです。 私は2001年デビューということになってますが、実はその3年以上前からライターの仕事をはじめています。 「告白手記」という「私はこんなにエッチな体験をしたので、ナイショで告白します」という「読者の告白」を読者に成り代わって書くお仕事があるんです。 これ、編集者が、3行ほどの設定を指定してくるんですが、いろんなのがあって大変でした。原稿用紙千円でした。 エロゲシナリオもよく書きましたよ。詳細なフローチャートに従ってテキストを埋めていくだけ。当時は1KB千円でした。原稿用紙600円ぐらいかな。しかも振込手数料として毎回820円引かれるの。 ナポレオン大賞を取っても、デビューしたレーベルは消滅してしまうし、エロライターの仕事を続けていました。 でも、あるとき、吐いてしまったのです。 エロというのは、自分が興奮するものを書くのは楽しいのですが、属性がないものを書くのはつらいんですよ。 たとえばの話ですが、痴漢にあって怒りまくっているときに、痴漢にあって喜んでいる女の子の告白手記を書けと言われると、そりゃ苦しいですよ。 何年目だったかな。イヤだなぁという感情を押し殺して書いているうち、ついに身体が耐えきれなくなってしまって……。 一度吐いてしまうともうダメで、パソコン立ち上げるたびに気持ち悪くなっちゃって吐くんです。 市の健康診断に行ったら、「やせすぎ。ダイエットをやめなさい。病気になりますよ」仕事してただけですよぅ。ダイエットしてないですぅーっ。 めまいに悩まされていたのですが、「貧血と低血圧です。栄養状態が悪いだけ。肉を食べれば治ります」 他にもストレス性の突発性難聴もやりました。低音が聞こえにくくなって、PHS解約しました。治るまで一年かかった。いまだにケータイ持ってません。 小説一本になって吐くのはおさまったのですが、ライトノベルの依頼に答えようとして、再び吐いてしまいました。 それは「か××んを書いてください」という依頼でした。盗作をしろ、と言うわけではなく、「か××ん」みたいな肌色系ラブコメを書け、という意味だったのでしょう。ですが、私には、ムリでした。だって私は私の小説を書きたいと思っていたからです。 他にはこんな依頼がありました。「女流ポルノ作家の明るい生活」で小説を書いて、と言われたのです。私はいったん断りました。だって、ポルノ作家って、明るくなんかないですもん。ですが、「これって売れ線なんだよねー。売れると思うんだけどなー」と言われて、イヤだなぁと思いながらもがんばったのですが、ダメでした。 吐くほどがんばっても、本が出ないと一円にもなりません。しかも、ライトノベルを見るのもイヤになってしまったというオマケつき。 私の小説で売れたものは、売れてる小説のマネではなく、編集者が売れスジだから書けと言ったものではなく、私が「気持ち良く書けた」「楽しんで書けた」ものだけなんです。 私のオリジナルの小説で売れてるのは、My妹五刷とAKUMAで少女4刷ですが、売れスジでもなければ誰かのマネでもないんです。 ハーレムって女からすりゃ浮気だよなー、この主人公ってひどいよなー、と思いながら書いたハーレムもののジュブナイルポルノや「一冊丸ごとラブラブなんてよくないねー。マネーバトル入れようかー」なんて編集者に言われて、株式投資なんて興味ないんだけどなーと思いながらも、必死で調べて書いたライトノベルは、見事に数字が出ていません。私がイヤだなぁと思いながら書いたものは、ひどい結果になるのです。 漫画は違うのかもしれませんが、小説において、凡人は、赤松理論は実践しないほうがいい。 実践できるのは、天才だけです。 楽しくない小説を書き続けると、凡人はつぶれます。吐いたり突発性難聴を起こしたり、あげくに書けなくなるのです。 凡人である私は、私が書いて楽しくて、なおかつ読者さんが読んで楽しい小説を書けるようにがんばっています。 編集の言うことはアドバイスとして聞くけど、決めるのはあくまで自分。 イヤだなぁと思うものは書かない。 それでも強制する編集からは、闘争せずに逃走する。 読者さんに楽しんで頂きたいけど、私の実力以上のものは書かない。 私は私の文章で、私の小説を書くのです。 だって、身体を壊したら、元も子もないですもん。 私はきっと、大売れもせず、パッとせず、冴えない作家でいつづけるんだろうな。それでも依頼が来る限り、書き続けるし、依頼がなくなったら営業するし、がんばっていきますよ。 私は、楽しみ代を私が払うことで、作家を続けているのでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.21 21:08:47
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