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小説は作家が書いたそのままが本になるわけではなく、たくさんのプロのお力を借りて商品になり、書店さんに並びます。
編集者、校正者、イラストレーターの先生、装丁者(デザイナー)、印刷所、流通(卸し業者)、書店員さん。 編集者については、「バクマン。」を読めばどんな職種かわかるのではないでしょうか。 このうち、聞き慣れないのは校正ですよね。 校正は、原稿を読んで文章の誤りを赤字で訂正する人です。 と、こう説明してしまうと、なんだか簡単そうですが、いえいえこれはプロのわざでして、校正さんの技術って、ほんとうにすごいんですよ。 一冊の本の中で、漢字の開きは統一しなくてはならないという約束があります。 漢字を開くというのは、漢字をひらがな表記するという意味です。 「大丈夫」と「だいじょうぶ」は混在してはいけないのです。 すごい校正さんになると、この漢字の開きの一覧表を作ってしまうんですよ。 著者側もワープロの「検索・置換」機能を使ってチェックするんですが、校正さんのチェック力にはかないません。 時代物を書いたときの校正さんはすごかった。 時代物の校正さんって、時代考証までチェックしてくださるんですね。しかも、百科辞典等のコピーをつけて、こちらではこうなっているけどこのままでいいですか?と注意を促してくださいます。 あと、私が勘違いして思いこんでいた間違いを指摘して頂いたり、カタカナ表記が間違えているときは、英語のスペルを書いて「?」で聞いてくれます。 たとえばですが、オーラ、って、私はオーラーだと思いこんでいたのですが、スペルだとAURAだから、オーラなんですね。耳から入る言葉って、勘違いして思いこんでいること、けっこう多いです。 校正者って添削者なのね、と思われた方もいらっしゃるかと思います。 いえいえ違います。校正者は、添削はしません。 小説家の文章は小説家のものです。添削をしていいのは編集者のみです。 小説の添削をする校正者なんていまだかつて出逢ったことはありませんが、もしも校正さんが添削をしたら、作家よりも編集者が激怒して、二度とその校正会社には依頼しなくなるでしょう。だって、編集者の職域を侵していることになりますからね。 校正さんは、あくまで黒子。文章の誤りをチェックするだけ。 たとえば私が「紅白の美川憲一のコスチュームは、人智を超えた派手しさだ」と書いたら、校正さんは、「派手しさ」を校正記号でトルツメして「激しさ」と赤入れします。日本語として正しくないからです。 でも、作者としては、わざとやっているわけです。だから私は、赤字にバツをします。これは「そのままでお願いします」の意志表示。 最終チェック(責了)をする編集は、作者の意を通します。 だって、小説を書いているのは作者ですからね。 市販の本に誤字が少ないのは校正さんのおかげなんですね。 いわば、小説のゴールキーパー。 たよりになる存在です。 私はあとがきで謝辞を書くとき、イラストの先生や編集者だけではなく、校正さんや流通さん、デザイナー(装丁家)さん、書店員さんにもお礼を述べています。 たくさんのプロに支えられて本を出せるのは、ほんとうにありがたいなぁと思います。
最終更新日
2011.04.20 10:14:02
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