カテゴリ:カテゴリ未分類
書店営業したときのことです。
「表紙を見れば売れ行きがわかるんです」と書店員さんが言いました。売れる本は、平積みにしたときに、パッと目立つ、本が大きく見えると言うのです。法則があるわけじゃなくて、好きとか嫌いとかじゃなくて、カンだと言います。で、そのカンがよく当たるんですって。 カンというのは経験則です。長年書店員として働いて、本を賞品として扱ううち、この本は売れた、この本は売れなかったという経験則が積み上がっていき、やがてカンが働くようになる。書店員さんってすごいーっと思ったできごとでした。 でも、考えてみれば、私たちが書店で本を買うときって、表紙ですよね。 まず表紙を見て、本を手にとって、タイトルと著者名を見て、帯のあおり文句を見て、あらすじを読んで、購入するかどうか決める。 問題:読者が購入を決定するポイントになる表紙とあらすじ、誰が作っているのでしょうか? 答え:編集者です。 本の装丁をするのはデザイナーの先生です。 社内デザイン室の場合もあれば、デザイン会社に外注する場合もあるようです。デザイナーの先生に「これこれこういう感じで」と発注するのは編集者です。デザイナーの先生は、編集の発注内容にしたがって本の装丁をデザインします。本をわざわざ読むことはありません。 イラストを発注するのも編集者。 あらすじを書くのも編集者。 帯のあおり文句を考えるのも編集者。 あと表紙にあるのはペンネームとタイトルですが私の場合はこれも編集者がつけます。 官能小説とジュブナイルポルノは編集者がタイトルをつけます。どんな大御所でも、どんな出版社でもポルノは例外なく編集者がタイトルをつけます。 ライトノベルも、タイトルを編集者がつけることが多くなってきました。 私のわかつきひかるというペンネームは、ナポレオンXXノベルズの編集長がつけてくれました。ペンネームで売れ行きが変わるからなのだそうです。 (「わ」は50音で並べたとき一番最後に来るので目立つし、男か女かわからないペンネームのほうがいいよとのことでした。いいペンネームですよね。気にいっています) 私の小説の場合、表紙は全部(ペンネームまで)編集者の手によるものです。 小説家は小説を書くだけ。その小説をパッケージングして売りものにするのは編集の仕事。 私の小説で売れた本は、自分でもうまく書けたなーという改心の作であるのはもちろんのこと、このパッケージが最高だったんですよね。なんというか、イラストも装丁もタイトルもアオリ文句も、すべてがうまくハマってた。 このすべてがうまくハマる感じ、たまんないですよ。見本誌(作者は刷りたてほやほやの本を見本として渡されます)を手に取った瞬間、おおおーって感じになるんです。 私はコッパ作家ですが、私のつたない小説を、装丁家さんやイラストレーターの先生や書店員さんや編集者や、すばらしいプロのお力を借りて、商品として売って頂けるのは、幸せなことだなと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.03 22:18:36
|