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ツバメ減少 巣作り困難

ツバメ減少 巣作り困難

晴考雨読(読売新聞2015年5月10日付)
気象予報士 森田正光氏

 気象庁では生物季節観測といって、季節の指標になる動植物を観察しています。その中に、ツバメの初見日という項目があり、その年、最初にツバメが見られた日を記録しています。
 東京の記録の推移を見ると、1951年から80年の平均的な初見日は4月12日ごろでした。それが年々早まり、71年から2000年には4月3日ごろに。近年は再び遅れ気味となり、81年から2010年の平均は4月7日です。今年は5月8日現在、まだ気象庁周辺に飛んできていません。温暖化により飛来が早まる流れがあった一方で、都市部ではツバメを取り巻く環境が悪化し、数が減っているということなのでしょう。
 石川県では小学6年生のグループが、ツバメの生息数、使用中の巣や古巣の数を見て回り、地域の住民に話を聞く「ふるさとのツバメ総調査」が毎年行われています。今年で44回目を迎えるそうです。
 リポートによると、ツバメの数は40年ほど前に比べて3分の1に減っています。ツバメは泥にワラや枯れ草を混ぜた巣を作り、空中を飛ぶ虫を捕まえるので、はやり田んぼが多い環境ほど住みやすいといえます。近年は田んぼの面積が減る傾向にあり、それと合わせようにツバメの数も少なくなってきているのです。
 しかし、原因はそれだけではありません。昔に比べて住宅の数は増えているものの、巣を作りやすい土間や軒下のある家屋は少なくなりました。汚れがつきにくい外壁も巣づくりには適していません。昔のように、ツバメのために玄関を開けっ放しにするなど論外で、防犯のためにカギをがっちりかける家が大半になっています。そして何より。清潔重視のライフスタイルが定着したことが大きいと思います。
 「日本野鳥の会」が2012年に行った調査によると、ツバメ減少の要因として最も多く挙げられたのは天敵のカラスですが、その次は、なんと「人による巣の撤去」だそうです。ただでさえ、巣を作れる場所が減っているのに、フンが汚くて困る、夜にシャッターを閉められなくて物騒などの理由があるようです。当事者の意見も大いに理解できますが、ツバメを守りながら対策できる知恵があるのは、我々人間なのです。
 どうしても巣を作らせたくない場合は、ネットを張るなどしてツバメを寄せ付けないことです。ツバメなど野鳥の卵やヒナがいる巣を勝手に壊すと、鳥獣保護法で1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられることをご存じでしょうか。
 ところで、なにかと苦労が尽きないのに、なぜツバメは毎年のようにはるか南からやって来るのでしょう。熱帯では一年中えさ(虫)に事欠かないはずですが、その分、鳥同士の競争が激しいと思われます。ヒナを育て上げ数を増やすには、より良い条件を探し求めるのが自然な流れです。日本のような温帯地域は、冬が終わると一気に生命が活動を始め、エサとなる昆虫が爆発的に増えます。ツバメは長い年月をかけ、そこに入り込むチャンスとタイミングを獲得したと考えられています。「渡り」という手段を使って。
 そして、何よりツバメが繁栄できたのは、他の種が怖れて避ける人間のそばに、あえて近づく選択をしたことです。その分、害虫を食べてくれる益鳥として、彼らは故郷の懐かしい風景と一体化してきました。ツバメのボディガードをやめてしまうと、今度は我々人間に何かしらツケが回ってくる気がするのです。 (お天気キャスター)


ツバメの減少要因
1 カラスによる影響
2 人による巣の撤去
3 カラス以外の天敵
4 農地、自然環境の変化
5 住宅建材、工法の変化
6 エサとなる昆虫の減少
7 巣の自然落下
(日本野鳥の会のツバメ全国調査2012から)






















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