「龍芯2号」コンピュータチップ開発
中国は国家の安全保障ということを非常に重視しており、コンピュータの領域では、インテルとマイクロソフトの独占から逃れようとしています。マイクロソフトのウィンドウズは一般には非常に多く使われていますが、ほとんどが海賊版です。WTO加盟以来、政府調達などではウィンドウズ正式版の購入も一部ではされてはいますが、ソースコードが公開されないこともあり、リナックスの開発にも力を入れています。 2002年のDVD特許交渉で、国際標準を持たない悲哀を痛感させられましたから、自主知的所有権の確立は色々な方面で至上命題になっているのです。いつか機会があればご紹介しますが、携帯電話の第3世代の規格も、独自のTD-SCDMA方式を進めています。 今回は、汎用のコンピュータチップの記事がありましたので、ご紹介します。 中国が自主知的所有権を持つ64ビットCPU「龍芯2号高性能汎用プロセッサー」の成果発表会が18日、北京人民大会堂で開催された。これは2002年9月に発表された「龍芯1号」に比べ10倍の性能を持ち、ペンティアム3のレベルに相当する。開発した中国科学院コンピュータ技術研究所所長は「CPUは国家安全問題に係わり、中国は他からの制約を早く逃れ、自分のCPUを開発しなければならないのだ」と語った。 しかし、彼は同時に国際的な最先端CPUとの差はまだ大きく、「龍芯1号」で6年、「龍芯2号」でやっと4年に縮めたという。インテルとの差が大きいので、まだ国内外のPCに大規模に使われるには至っていない。けれども、先ずレジスター、POS、テレビ用アダプターなどの領域から始め、それからPCの領域に進出することは可能だと楽観的な意見の専門家もいる。 発展の制約となるのはソフト問題で、採用しているのがリナックスであり、広く使われているウィンドウズに対応していないことである。それは主にマイクロソフトの支援が得られていないためである。打開の道はマイクロソフトと値下げ交渉をするか、自分でリナックスをよくするかである。 プロジェクト責任者によると、今後の目標は、「龍芯2C」の5倍の性能を持ち、ペンティアム4に相当する「龍芯2D」の設計に今年の5月からかかり、マルチプロセッサーの「龍芯3号」を「十一五」期間(訳注:第10次5ヶ年計画のこと、2006年-2010年)に完成させることである。完全自主知的所有権を持つ「龍芯」系列にはコストメリットがあり、100元(約1,400円)程度のCPU、1,000元程度のパソコンを7、8億人の農民に与え、インターネットを利用できるようにすることで、「十一五」期間には可能になると確信している、という。 「龍芯」の大規模応用を目指し、情報産業部、科技部、中国科学院、江蘇省政府が連携して、「中科夢蘭」という龍芯産業化基地が設立され、今後、下流のコンピュータメーカ、システムインテグレーターにチップ、ソリューション方案などを提供する。江蘇省はこのために、3,000万元を支援する。 私の中国一人旅