田舎暮らしカウンセラーのひとりごと 〜日常のなかの心理学〜

2022/08/29(月)15:50

音に慣れる ~人の馴化能力~

認知 心理学(5)

赤ちゃんが、音(おん)の判別ができるかどうかの研究に、 馴化のテストを行うことがあります。 たとえば、「は-ha-」と「ぱ-pa-」が区別できるかを調べたい場合、 「は は は は 」とまず同じ音を繰り返し聞かせます。 赤ちゃんは、さいしょはなにごとかと思いますが、 繰り返されるうちに、反応しなくなります。(馴化) そしてある段階で、「は」を「ぱ」に変えて、 新規な音に赤ちゃんが反応すれば、判別できている、 しなければ、でてないという判断になるわけです。 このように、人間には、音などの周囲からの刺激に対し、 ある程度、慣れてくることで馴化するという特徴があります。 見慣れた、聞きなれた、というやつですね。 普段は、大きく意識することのない馴化ですが、 わたしには、それを大きく意識したこんな経験があります。 田舎で育ち、大学や主人の転勤で比較的都会で暮らしていたこともありますが、 人生の大部分を田舎、ど田舎で暮らしてきました。 とくに、現在の田舎暮らしを始めて20年。 毎日、鳥の音、虫の声、雨の音、 風の音を聞きながら、暮らしてきました。 そのわたしが、数年前、 大都会で暮らしたことがあります。 その前から、その大都市の教育機関に勤めており、 週に数日通勤していましたが、息子が大学生となり、娘が私立高校に進学した機会に、 そこにマンションを借り、平日はそこで暮らすことになったのです。 単身赴任の一種ですね。 (単身、ではありませんが) そのマンションは、交差点の目の前にあり、 日中、夜間に限らず、信号機が「ピッポ、ピッポ」「ピー、ピー」と 鳴っているような場所でした。 そこで暮らし始め、はじめはその音が気になっていたのですが、 どうやら、そのうち気にならなくなったようです。 田舎に残した家族が泊まりに来た際、 「信号の音気になるね」といったことで、わたしはそれに気が付きました。 あれ、いつのまにか、まったく気にならなくなっている! なんなら鳴っていることも、注意して聞かなきゃ気が付かない。 音に対して一切、鈍化しているのか? でも、時々通る救急車、パトカー、 暴走族の音なんかには、すぐに反応します 新規な音なら反応する、ということは、 信号機の音に対しては、間違いなく馴化しているということですね。 このエピソードは、認知心理学の授業の際など、 学生に話すことがあります。 このように、日常のエピソードを交えることは、 学生が自分に関係しているという認知を促し、 心理学に興味や関心を持たせることにつながります。 みなさんも、日常でこのようなエピソードがないか、 気にして見てくださいね。

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