村治佳織 リサイタル
この間、村治佳織さんのリサイタルに行きました。市川市の小さなホールで、チケット代3,000円なら安いでしょう。私はあまり村治さんのCDはよく聴いたことはないのだけど、小さい頃から、ギタリストであり指導者である父親がそばにいて、あまり苦労せずに大成した、仕向けられた成功、そんな感じがしてた。もちろん、努力なくして、あそこまでのぼりつめることはできないのだろうけど、村治さんの音を聴いていても、やはりこのイメージは崩れなかった。音は、乱れることなく、崩れることなく、安定していて、プロの演奏って感じで、でもそれだけだった。心をかき乱すような鳥肌がたつような、心からの感動を与えてくれるような、そういう感じは、なかった。ギターという楽器自体、音が小さいので、ギターリサイタルって、すごく地味な感じで、音量あげればもう少し楽しめるかもしれないのに、小さな音で細々と弾いてしまう。もちろんそれは、計算された音であり、ギターの音をきちんと伝える最高限度の音なのかもしれない。でも、それが私たちに感動を与えてくれるための、最高限度の音ではないんじゃないかと、私は思う。私はね、誰も知らないような曲であっても自分の弾きたい曲を、自分の弾きたい音で観客がどう思うかなんて気にせずに弾く演奏家よりも、聴く側がどう感じるかを考えられる演奏家のほうが、好きかなぁ。聴く人あっての演奏家でしょ。でも最後に弾いた「タンゴアンスカイ」は絶妙でした!やっぱ目標はこの曲だな…。