|
カテゴリ:柔術
古流と言われている武術では、どれだけ長く続いているかが重要なようだ。 そして、その流祖が著名人であればなおさらだ。 剣術の間では柳生十兵衛宗矩といえば、まあ知らない人はいないだろう。 その宗矩を改組とする柳生新陰流はいろんなドラマとかデイがとかでも活躍しており、その流派の名前も広く知られている。 では、その柳生新陰流で行われていることが、本当に宗矩のところまで遡れるのかと言われるとどうなんだろう? 新陰流については詳しくないので、あまりあれこれ言うわけにもいかないのだが、まあ新陰流をやってる道場は全国にけっこうあったりするだろう。 その道場の全てで同じことをやっているかというと、多分違う。 どこかに違うところが出てくる。 これはある意味致し方ないことだ。 今では映像に残すという手段があるけども、その昔にはそんなもんなかったわけで、せいぜい紙に書き残すくらい。 例えば、抜刀して横なぎに斬る、振りかぶって真向に斬る、残心を残して納刀、という型があるとする。 これを伝言ゲームよろしく、10人が次々に伝えていくというのをやってみよう。 最初の人がやったのを見て、それを覚えて、次の人に見せる。 このくり返しの中でどれだけ元の形が伝わるか、ということだ。 どこかの過程で「横なぎに斬る」がなくなったり、「真向に斬る」が袈裟斬りになったりとか、変化が出る可能性があるわけ。 10人が並んでやってたら、「いやそれは違うだろう」とか指摘もできる。 が武術の場合、伝えることができるのはせいぜい自分の前後だけってことだ。 どこかで形が変わると、それが正として伝わってしまうし、さらに変化するかもしれない。 さらに条件を変えて、1人が2人に伝えて、その2人がそれぞれ2人に伝える...これを10回繰り返すと、10回伝わったところで1024人が伝えられていることになる。 その1024人を一堂に集めて一斉に型を披露したときに全てが同じ動きになるかと言われると、まあずいぶんと変わっていると思うよ。 今、10回と書いたが、一子相伝とやらで江戸時代から伝わってくると、今、受け継いだと言われる人がだいたい10代あたりになるんじゃないかね? いやいや、そんなもんきちんと伝わってるでしょ、と思うかもしれんけど、その流派では型が一つってことはない。 極端な話ではあるが、10の型くらいはあるだろう? それがどれだけ初代と同じ型で伝わっているんだろうね? 先にも書いたが、書き物に残すということはできる。 場合によっては絵で残すこともできる。 そういうものも実際にある。 それはある程度形を残すための参考にはなるだろう。 だけど、形を保って行くのは相当に難しいものだと思う。 映像で残すことができる今がその形を保っていくためのぎりぎりのところになるのかねえ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年10月23日 05時59分24秒
コメント(0) | コメントを書く
[柔術] カテゴリの最新記事
|
|