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カテゴリ:計算
誰も興味ないと思うが、今では殆ど使われなくなってしまったカメラの横走り布幕フォーカルプレーンシャッターのシュミレーションをおこなってみた。
数十年前の一眼レフカメラでは全盛だったが、縦走りシャッターに変わり、デジタルカメラに変わり、更には、電子シャッターへとかわってしまった。今更何の意味もないが、ふと思い立ってシュミレーションしてみることにした。数十年前には、パソコンの計算能力も低く、この様なことをするには、多大な時間が必要になったことであろう。 最初に、構造について説明すると、上の絵はレンズ側から見た露光途中の図である。 撮影画面枠を先幕が通過し遅れて後幕が通過する。この時間差が露出時間になる。 先幕は、円筒Bに巻かれていて、中には巻き取るバネが入っていて、上下のリボンで円筒Aに繋がっている。 後幕は、円筒Cに巻かれていて、上下のリボンを通じて円筒Dのバネで引っ張られている。 フイルムを巻き上げると同時に、円筒A及び円筒Cを回転させ、先幕と後幕を巻き上げる。この時、先幕と後幕は少し重なった状態で、送られる。 それぞれの幕は、BD側に引っ張られているが、それぞれの留め金でAC側で引き止められている。 Aの留め金を外すと、先幕は右に移動し Bに巻き取られ露出が開始される。 設定時間後にCの留め金を外し、後幕が右に移動し、Dに巻き取られ露出が完了する。 幕は基本的には、減衰振動に従って運動する。方程式で表すと θ=A*(1-(e^-bwt)*cos(w*sqrt(1-b^2)*t)) 円筒の回転角を:θ、最大振幅:A(バネの中立点から巻き上げ完了位置まで)、 減衰量:b、各振動量:w=sqrt(m/k) を用いて計算する。 この式では、時間(t)を入力して、位置(角度(θ)×半径)が算出される。 先幕と後幕の通過時間差を求めるためには、同じ位置を通過する時間を算出する必要がある。 そのため、逆関数の式を求めれば良いのだが、かなり大変なので、 力づくで時間を細かく変えて、目標の位置に近づけ、誤差が許容範囲内になった時間を求める。 ニュートン・ラプソン法等を使って計算回数や時間を短縮する。 こうして 種々のファクタを変えて 0.1mm 刻みで先幕/後幕の通過時間を、EXCELで表をつくり、グラフ化する。 こうして、横軸に時間、縦軸に通過位置のグラフができる。 35mmカメラの画面は、画面中心の左右 ±18mmで、シャッターの試験機では、少し内側の±16mmが測定点で、幕の速さを調整してる。 先幕が通過してから後幕が通過するまでの時間が露出時間となる。 一般に光漏れを防止するため先幕は後幕より奥からスタートする。このため、先幕と後幕の描く曲線は異なり、画面の位置で露出時間に多少の差がでてしまう。 上図は、その一例である。横軸に画面中心からの位置、縦軸に露出時間である。±16mm位置で、幕の速度(通過時間)を同じに調整すると、この二点は同じ時間になる。-16mm位置位置での先幕通過時間から後幕通過時間すなわち露出時間が1/000秒になる様に調節すると、バネの強さを調節し幕の走行時間を同じに調節しているので、+16mm位置でも同じ時間差、すなわち露出時間になります。 しかし中央では、幕の速度は異なり、0.1ms程長くなっています。 続きは次回。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.25 16:27:22
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