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カテゴリ:計算
フォーカルプレーンシャッターでは、走行する道筋に多少露出時間に誤差が生じてしまう。
先幕と後幕が同じ条件で走れば、露出時間は均一であるが、様々な条件で走り方が異なり、露出に誤差が生じる。 特にスタート位置が大きく影響する。 先幕がスタートして、一定時間御に後幕をスタートさせて露出させるのだが、スタート直後の移動量は極めて僅かなので不安定になり、特に高速シャッターでは大きなバラツキを生じる。 そこで先幕がスタートして、1mm程動いた所を基点に機械的或いは、電気的スィッチを使い、後幕はその分画面に近い位置からスタートさせている。 当然、各位置での先幕と後幕のスピードは異なり結果として露出時間野村となる。 スピードが少しでも近づくために、後幕のバネを強め、短時間でスピードを出し、先幕に追いついてからは弱くなるように設定してる。 これは、同じ位置からスタートした時の露出ムラである。バネの強さが、先85,後85の時は、赤い線となり ムラが全く無い。先幕バネを強め後幕バネを弱める(例105:65)と中央時間が長く上に凸、逆にすると凹になる。 スタート位置が1mmずれていると、全体に中央が上に移動する。バネを(70:100)にすると中央でもゼロとなる紫線にすることができる。 更にスタート位置の差が2mmとなると、中央が更に大きく膨らみ、バネの差をもっと大きくしないとゼロにはできない。 見方を変えて、バネ強さが同じ85一定で、後幕の位置を23mm一定で、先幕スタート位置を25~23mmと変化させた場合、差が有る程上への膨らみが大きくなる。 今度は、バネ強さ85一定、先幕位置25mmで後幕23~21mmに変えた時にも同じように、差が無い時には、フラットだが、差が大きくなるにつれ、上に大きく膨らんでいる。 今度は、先幕25mm、後幕23mm位置スタートで、バネの強さを先後同じ65~105に変化させてもあまり変わらない。 ここまでは、昔でも出来たのかもしれないが、ここからが本題である。 シャッタ幕には厚みが有り、その影響で生じる露出ムラである。 それには、0.1mm毎の計算で、400個所の計算が必要になる。 上図は、幕厚を誇張した幕を巻き付けている円筒の断面である。 A点から巻き付け、B点から中心からの半径が膨らみ、再びA点で幕厚分膨らみ、C点で円筒から離れていく。円筒の半径をr、幕の厚みをdとし、幕の厚み中心で見ると、 A~B:r+0.5*d(一定) B~A2:(r+0.5*d)/cos(∠XOB) A2~C2:r+1.5*d となる。 これを元に幕の移動量は、回転角 θ(rad)として、 A~B: θ*(r+0.5*d) B~A2:XB+(r+0.5*d)*tan(∠XOB) A2~C2:XA2+θ*(r+1.5*d) となる。 これを考慮し、巻き始め位置を変えて計算すると、 上の図は、スタート位置同じにし、先幕、後幕同じ位置スタートとし、バネも同じで、巻き付け開始位置を変えた物である。幕の厚みがゼロであれば、横一線となるが、巻き始めの位置少し手前(上図のBからA)で変化する。本来は重なってしまうが、上図では条件毎に0.2ms毎平行移動して表している。 巻き始め位置が同じ(先-18;後-18)であれば、幕の速度は変化するが、同じタイミングで同じ変化をするので、中央の赤線の様に一直線となり、ムラは生じない。 上半分は、後幕-18で、先幕を-18~12に変化させたものである。-19~-18部の変化は、後幕の影響で 更に一回転した、15~16の位置でも変化してる。先幕による変化はそれぞれ-12~12の位置で発生している。-18の時には、後幕の変化を打ち消して全く変化無に成っている。 同様に下半分は、先幕-18一定で、後幕を-18~12に変化させたものである。同様に-19~-18部に先幕の影響、後幕の影響が-12~12の位置に現れている。-18の時は後幕の影響を打ち消している。 先幕は、幕の速さが急に加速され、露出時間は長くなり、後幕が加速されると、露出は短くなる。 傾向が判りやすくするため、同じ位置スタートとしていたが、現実的なスタート位置 先-25、後-23の場合は上図の様になります。 この変化が実用上どの程度か判らないが、シャッター速度が遅いうちは、問題にならないが、高速シャッターで均一な被写体(例えば一面の青空)を撮るとムラが現れるかもしれない。 0.1mm刻みで、シュミレーションし、露出時間をゼロにしたので、僅かな誤差を表現することができた。 また、これらはシュミレーションで、現実とは違っているのかもしれない。 今では、検証出来ない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.03.08 13:26:20
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