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テーマ:暮らしを楽しむ(388614)
カテゴリ:つぶやき
おじさんの家の木戸口には 大人でも抱えきれないほどの トガの木があった。
おじさんの所は大きな農家で、農繁期になると 母はよく手伝いに行っていた。
私と妹も、春の田植え、秋の稲刈り その中間に数回ある 「 お蚕あげ 」 などには 母についていき、仕事もできないのに お茶の 「 おこびれ 」 だけは一人前にもらっていた。
おじさんが、母のいとこで、父と母の仲人だったことを知ったのは 私が成人してからのことだ。
トガの木には、赤い小さな実が成る。 元々小さい上に、タネが大きいので ろくに食べる所もないが、口に含むと甘くておいしかった。
おじさんの息子さんの結婚が決まって 昔ながらの土間と囲炉裏のある家を取り壊し 今風に建て替えた時、このトガの木も伐られてしまった。
新しい母屋は息子さんたちに譲り おじさん夫婦は奥の離れに隠居住まいを構えたが 私より4~5歳上の息子さんは、おじさんより先に早世してしまい その奥さんは子ども2人を連れて、実家に帰った。
おじさんたちは母屋に戻って暮らすようになったが 私の母が亡くなった年の春、おじさんの連れ合いも 長い闘病生活に終止符を打った。
それからは、広い家におじさん1人で住み 畑を耕し、野菜が出来れば 「◯◯があるから、持ちに来いや。」 と言っていたおじさんも、息子さんと同じ病気で 2年前の春、おばさんの所へと旅立って行った。
トガとイチイが同じものだということを知ったのは つい最近になってからだ。 今年もまた、トガの木に赤い小さな実が成った。
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