カテゴリ:登山
七年の
七月 七日の 七夕に 七姫山に登る。 なーんて洒落ているのかしら、やまやろうは。そういう事を思いついた人は、いなかったらしい。クムジュン前の駐車スペースを占有した。 9:04 585m クムジュン前を出発。歩き始めて2分、車のキーロックをしたのかどうなのか気になる。貴重品はないから大丈夫だと思ったが、気になって仕方がない。空荷で引き返す。やはりロックしていたか。5分のロス。半ば崩壊した作業道を歩く。日差しはあるが、うだるような暑さではない。 9:35 795m 取水堰堤。爽やかな音を立てて、水が白いレースとなって流れ落ちる。道は曲がりくねりながら高度を上げていく。 じきにヤブが濃くなる。両脇から覆い被さるような草をはらいのけながら歩く。 道には、水がとうとうと流れている。急勾配の常願寺川を見たオランダ人技術者デ・レーケは、「これは川ではない、滝だ」と言ったそうだが、それにならうと七姫山への道は、「これは道ではない、沢だ」となる。登山靴ではなく沢靴を履いてくればよかった。一本道が続くものの、ヤブが濃いのでどちらに進めばよいのか迷う。 10:11 960m 踏み跡を頼りにしていくと堰堤にぶつかった。これが「富山県の山」で言っていた、登山口だろうか。右手にロープはないが、人の通った跡がある。堰堤の上は水流豊富な沢となり、踏み跡は不明瞭となる。 これはおかしい。堰堤の両端をくまなく探してもロープはない。左岸を巻くのかと崖を上がってみたが(踏み跡ぽく草が倒れている)、これも違う。仕方なく、沢を遡行してみる(遭難の匂いプンプンだ)。 右へ左へ水流をかわし、ガレた沢を遡行する。沢靴で来たかったと強く思った(目的は登山だったような)。数十メートル遡行してあきらめた。ここは違う(ようやく気付く)。おにぎりを一個食べて落ち着く。もう11時だ、このまま引き返して下山しよう。七姫山は無理だったから、尖山でも踏んで帰ろう。悔しいから太くて長いヨシナを摘む(目的は登山だったような)。 11:13 965m 堰堤を後にする。1時間もさまよっていたのか。下り始めてすぐ、なにげなく見渡したら潅木の隙間に先へ進む道がある。まだ作業道は延びていたのだ。単純なる道間違い。ならば七姫を目指すぞ。強気になって進む。 ヤブは相変わらず濃いので、足下を見ながら慎重に歩く。つづら折りのヘアピンでは本当に分かりづらい。でもこの道の突き当たりが、登山道入り口であることを確信した。潅木に若いブナが混じり、山らしくなってきたなと思ったその時。 「グオ。」 (;゚Д゚) ヤツけ? 立ち止まると、静寂に包まれる。物音ひとつしない。こちらは大声をあげ、持っていた鈴を激しく鳴らす。イタドリを手折り、ばさばさ振り回す。ぱたと止めてもヤツは動く気配なし。どこにいるのか分からないまま、やまやろうは騒ぎながらじりじりと前進する。ヤツがヤブの中に留まっているのならば、通過できるのではという判断。 11:30 撤退決定。すぐさまUターン。鈴の音MAX。をいをい、あのウンニョは、ハエがたかっていないほど出来たてだぞ、しかもデカイ。今日は七姫山に登れなくてもイイワ…。今度来る時は10人くらいで賑やかにしたいものである。 下山は、半分心ここにあらずの足取り。思い返せば登っている時ずっと、ヤツのことばかり頭に浮かんでいた。なーんか予感があったのだ。そして的中。やまやろうの山人生の中で、2番目に近い遭遇であっただろう。 12:25 680m 取水堰堤からかなり下の木陰に腰を下ろし、残りのおにぎりを食べる。ヤツがそばにいた時は、空気の緊張感が、こことは全く違うことに気付く。平和やね。 12:44 車に到着。これで七姫山は二度目の撤退である。相性が悪いみたいだ。 七夕に 黒い毛皮の 牽牛に 遭えて登りし 遠き七姫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/07/07 05:52:46 PM
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