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テーマ:エコライフの工夫♪(809)
カテゴリ:ペットボトル
自分用忘備録を兼ねて、調べた結果をリサイクル。まじめな記事・・ インターネットを検索すると、ペットボトルに関する間違った内容が相当広がっているのがわかります。具体的には、 「ペットボトルに熱湯を入れると環境ホルモンであるビスフェノールAが溶け出す」 「ペットボトルを繰り返し使用すると発ガン性物質であるDEHPが溶け出す」等々。 最初に書いておきますが、上の二つは全くのデタラメです。では情報の出所は何処でしょうか。 まず上ですが、韓国の新聞「中央日報」の日本語版、 ペットボトルに熱湯は禁物! | Japanese JoongAngIlbo | 中央日報 --ここから記事引用-- ペットボトルを消毒するため熱湯で洗うと、かえって体に有害になる。 米オハイオ州シンシナティー大のスコット・ベルチャー博士(薬理学、細胞分子物理学専攻)率いる研究チームは「ペットボトルを熱湯ですすいだ場合、最高55倍のビスフェノールA(BPA)が 検出される」という事実を明らかにした。BPAは、プラスチック飲食容器や食品用の缶の内側の樹脂に含まれる環境ホルモン物質で、乳がんや前立腺がんを誘発するものとして知られている。ベルチャー教授の研究チームが今回の調査を実施したのは、 ペットボトルやプラスチック容器を洗って再利用するケースが多いからだ。 (中略) 今回の研究は1月30日に発行された‘毒物学’誌(Toxicological Letters)に収録されている。 --ここまで-- この新聞記事、この分野に詳しい方なら一読して「おかしい」とわかる程度の内容です。どこがおかしいか? 「ビスフェノールAは、プラスチック飲食容器や食品用の缶の内側の樹脂に含まれる・・・」と書いていますが、ペットボトルにはビスフェノールAは含まれていません。 ビスフェノールAはある種のプラスチックの原料や、プラスチックの可塑剤として使用されています。しかし、プラスチックはそもそも大変多くの種類があります。原料もさまざまです。ピスフェノールAはペットボトルの原料ではありません。 ビスフェノールAを原料にしているプラスチックには、ポリカーボネートがあります。これについてはあとで述べます。 また、可塑剤に関してですが、ビスフェノールAはペットボトルの可塑剤として使われていません。 (そもそも、ペットボトルの形成に可塑剤が使用されているという明確な資料を見つけられませんでした。PETボトルリサイクル推進協議会では、ウェブ上で閲覧可能な資料で「ペットボトルに可塑剤は含まれていない」と明言しています。例として環境省のサイト上のpdf) ペットボトルからは全く検出されるはずの無い物質がなぜ検出されたのか? 疑問に思って、この新聞記事が引用している学術論文を調べてみました。 Toxicology Lettersという、査読付きの学術論文誌です。 ScienceDirect - Toxicology Letters : Bisphenol A is released from polycarbonate drinking bottles and mimics the neurotoxic actions of estrogen in developing cerebellar neurons ??? 「ポリカーボネート」なんてタイトルに書いてありますが・・・本文も読んでみました。(本文pdfを読むにはお金がかかります・・orz US$31.50) その結果を、まあ2chの該当スレに書き込みましたが、以下がそれ (DAT落ち) http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1202613219/ --ここから-- ここまでのまとめ。 (1) 米オハイオ州シンシナティー大のスコット・ベルチャー博士が、 「ポリカーボネート」のドリンク瓶を熱湯で洗うとビスフェノールAが溶け出すよ、という論文書く。 ポイント1: Toxicological Lettersはまともな論文誌。 ポイント2: 論文趣旨は、新しいポリカーボネート瓶でも古い瓶でも、溶け出す量は変わらなみたい、ということ。 (2) 中央日報が、(1)の論文をもとに、「ペットボトルを熱湯で洗うとビスフェノールAが溶け出すよ」 という記事を書く。 突込みどころ: ポリカーボネートです。論文にはペットボトルなんて一言も書いてません。 突込みどころ2: ポリカーボネートとペットは違うものです。 --ここまで-- つまり、大本の学術論文はポリカーボネートに関する実験結果だったわけです。先にも述べましたが、ポリカーボネートはビスフェノールAを原料にしており、ポリカーボネート瓶に熱湯を入れるとビスフェノールAが溶け出すことは多くの研究で指摘されています。 しかし、それを中央日報の記者が翻訳する際に、「ペットボトルから・・・」として記事にしてしまった。その結果、ペットボトルからは溶け出すはずの無い物質が検出されたという「おかしい」記事になってしまった。 デタラメ記事を発信した韓国の新聞はもちろん責任重大で、また、これをそのまま検証せず転載した所謂ニュースサイトも「報道機関」を自任するなら、最低限記事の信憑性は評価するべきでしょう。 しかしどうも、この記事以前に「ペットボトルから有害物質(可塑剤・環境ホルモン)が出る」という話は蔓延しているようです。中央日報の記者が語訳した原因もそこにあるような気もします。 私が知る限り、体に影響がある量の有害物質がペットボトルから出る、という研究結果は一つもありません。(学会で否定されたものはある) それはおそらく「プラスチックはみんな似たようなもの」という誤解に基づいているんだと思います。しかし実際、上にも書きました通り、プラスチックには大変の多くの種類があり、ポリカーボネートのように実際に原料物質が溶け出す、PVCのように可塑剤が溶け出すものもあります。そのなかで、ペットボトルは現時点ではそのような問題は確認されていません。 本記事読んだ方は頭の片隅にでも「プラスチックはいろんな種類がある」ということを覚えていただければ幸いです。 注) 本記事では、ビスフェノールAが毒として有害か、環境ホルモンとして有害か、には特に言及しません。 「ペットボトルを繰り返し使用すると発ガン性物質であるDEHPが溶け出す」に関しては次の記事で書きます。 -- 続き。 ・ペットボトルに関する間違いはどうして広がったか その2 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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