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「態得御意候、然而先達而被為仰聞候両原難渋者へ御施薬一件之儀承知仕候、此儀至極御奇特之御儀、於私も大慶仕候、両原之者共へ一統申聞候処、甚以難有仕合ニ奉存候、追々御治療御頼参可申候間、宜御施薬奉希候、以上 三月廿日 脇万左衛門 野坂三益様」(『鶴亭日記』文政六年) お手紙を差上げます。「然而」先頃お聞かせ頂いた両原(三升原・柏原)の難渋者へ(天行病=コレラ予防の)薬を施したいとの事、承知しました。大変御奇特なことで、私も大喜びしております。両原の者共へ申し聞かせましたところ、大層ありがたがっていました。追々御治療を御頼いに参りますので、よろしく御施薬のほどお願いします。 安芸国賀茂郡の割庄屋、脇万左衛門から同郡寺家村の医師、野坂三益に宛てた手紙です。広島藩では文政五年コレラが大流行しました。 今回のテーマは2008年8月に取上げた「然而」です。 漢和辞典が「然而」を「しかりしこうして」(それだのに)と説明するのは当然ですが、国語辞典までが、「しかりしこうして」「しかれども」「しかるに」と読んでいます。これでは前掲の手紙に当てはまりません。 「然而」の「而」は仮名としては「て」ですから、「然て」で辞書にあたると、ありました。 【然て】さて。(学研古語辞典) 《接続詞》ところで。さて。▽それまでの話とはかかわりのない別の話を新たに言い起こす。《参考》副詞「さ」に接続助詞「て」が付いて一語化したもの。 【然而】さて。(大言海) さすが「大言海」。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015/05/16 02:55:46 PM
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