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昨日のお話の続きです。
中年の男性が亡くなられたお父さんのことで相談に見えられました。 不幸続きの一族で、変死が続き、父親が亡くなられた後、相続争いの場に幽霊となって現れたというのです。 強い先祖因縁を感じた与乃登は取り合えず、父親を呼び出し、あの世へ送り届けた。 与乃登「何か分かりましたか?」 男性 「はい。郷里のお寺の方で聞きましたところ、父親の今わの際に言い残した言葉の意味が分かりました。」 与乃登「お父様はなんとおっしゃったのですか?」 男性 「騙した奴はゆるさん、と。」 与乃登「どなたかに恨みでも、持たれていたのでしょうか?」 男性 「いえ、その逆です。どうも私たちの先祖が騙したようなんです。」 与乃登「と、言いますと?」 男性 「はい、お寺さんが聞いた言い伝えによりますと、私たちの5代前の先祖が、村の人を騙し、土地を取り上げたのだそうです。騙された人は、騙した奴はゆるさん、といいながら死んでいったそうで、私たち一族の変死者は同じように騙した奴はゆるさんといいながら死んでいっているそうです。」 与乃登「そうすると、祟りで乗り移られたという事でしょうか。」 男性 「そうなりますね。ここに、私たちの先祖とその騙した相手の方の名前があります。」 与乃登「分かりました、視てみましょう。」 早速、神前に座り霊視に入りました。 すると、大勢の人影が見えた。 この祟りで亡くなった人たちか。 人影の中から、小柄な男性が前に出てきた。 与乃登「貴方が当事者の総次郎さんか。」 小柄な男性は黙って頷いた。 与乃登「もう十分であろう。たくさんの人が亡くなった。」 男性は唇をかみしめ、与乃登を強くにらみつけた。 与乃登「そうか。まだ足りないか。一族を根絶やしにするつもりか。」 総次郎「あと、二人。」 与乃登「その二人で満足すると思うのか?」 男性は再び、きついまなざしで与乃登を見据えた。 与乃登はため息をつきながら、 与乃登「地獄よのぉ。今の貴方の心が地獄にあるのがわからんか。後、何人殺しても貴方は満足はしない。貴方は鬼だ。もう、人の心ではないのだよ。だから満足はしないのだ。」 男性は押し黙ったまま、与乃登の話を聞いていた。 与乃登「貴方は苦しい想いをしてきたであろう。しかし、見よ。後ろにいるたくさんの取り殺した人たちを。苦しいままでは救われんぞ。」 男性の顔に動揺が浮かんだ。 総次郎「どうすればいい。」 与乃登「本当に安らぎが欲しいなら、恨みを捨てることだ。皆を幽世へ送ろう。」 男性は、決めかねていた。 与乃登「いいさ。すぐに決めなくても。今から経典を上げる。聞いていなさい。人の心に戻る時間をあげよう。」 与乃登は観音経をあげた。 やがて、すすり泣く声が聞こえ始め、大勢の人影が一人消え、二人消え、そして最後に総次郎の姿も消えた。 与乃登「さあ、これで良いでしょう。」 男性 「なんだかほっとしました。祟りは消えましたか。」 与乃登「そうですね。消えたと思います。これから貴方が亡くなった方々の供養をなさって下さい。」 男性 「はい、お寺さんと相談してしていきたいと思います。」 与乃登「これで相続争いも収まるでしょう。お父様もお喜びだと思いますよ。」 男性 「そうだと良いですね。」 男性は帰っていった。 争い事は人の恨みを買い、恨みは刃物のように帰ってくる。 それも、時空を超えて。 この世さえ、今さえよければ、ばれなければ何をしても良いのだと思う心は、時を超えて大きなツケとなって帰ってくるのだ。 与乃登(よのと)の神霊心療室 http://yonoto.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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